不妊の原因を見つけるための検査は、女性の月経周期1サイクルの中でそれぞれの時期に応じたものを行います。どんな検査があるのか、英ウィメンズクリニック苔口先生に伺いました。
診察(問診・視診・内診)
医師が問診・視診・内診をすることにより、お1人ずつの特有の体質、体型や不妊の原因を調べます。また、皆さまから、ご希望や心配事などもお伝えいただけます。
超音波検査
プローブという器具を腟内に入れる方法と、腹部に当てる方法とがあり、モニターに映る体内の画像を見ながら診断をします。痛みはなく、気軽に受けていただけます。初診以降もさまざまな時期に行います。
基礎体温測定
来院される前に1~2カ月分程度、毎日基礎体温を測定し、基礎体温表をつけていただけると、効率よく診断することができます。この基礎体温表から幅広く情報を読み取ることができ、以降の治療に役立ちます。
子宮卵管造影検査
子宮口からカテーテルを挿入し、造影剤と呼ばれる検査薬を子宮腔から卵管へと注入して、卵管の異常や子宮腔の変形の有無を調べます。検査によって卵管の通りが良くなり、検査後2~3カ月は妊娠しやすくなります。
子宮頸管粘液検査
子宮頸管の粘液を注射器で吸い取り、量・透明度・粘り気(糸の引き具合)、含まれる細胞の数、特徴的な結晶形成の程度を、肉眼や顕微鏡で調べます。排卵日と予測される日の3~4日前から直前までが検査の時期です。
フーナー検査
子宮頸管粘液と精子との相性を調べる検査です。排卵の時期に性交を行い、9~ 2 4時間後に腟内を洗浄せずに来院していただき、子宮頸部の粘液を吸い取ります。粘液の中で泳いでいる精子の状態を顕微鏡で観察します。
抗精子抗体検査
女性の体の中に、精子の受精能力を妨げる抗体があるかどうかを調べます。血液検査で採取した女性の血清の中に精子を加え、精子の動きを調べる精子不動化試験、特殊なビーズを使うイムノビーズテスト(IBT)が用いられます。
腟分泌物検査
子宮頸管内や腟内の分泌物を、清潔な綿棒で採取する簡単な検査です。苦痛もなく、安心して受けることができます。採取した分泌物を培養して調べますので、結果が判明するまでに3~4日を要します。
精液検査
男性の精子を自ら採取していただきます。病院で採取するほか、自宅で専用の容器に採取して、冷やさないように持参していただく方法もあります。精液の様子は体調により変化しやすいので、2~3回行います。
血液・ホルモン検査
まずは貧血、肝臓の異常、糖尿病の有無など、基礎的な健康状態を調べるために採血します。これは月経後2~5日目が好適です。また、ホルモンが正常に分泌しているかどうかも血液検査でチェックします。
黄体期の血液検査
卵管性の不妊症の因子となるクラミジア感染がないかどうかも、血液検査でわかります。さらに、腫瘍マーカー検査では、卵巣がんのほか、良性の卵巣囊腫や子宮内膜症、子宮腺筋症などを発見することもあります。
通水検査・通水治療
卵管が詰まっていないか、正常に通っているかを調べる検査で、子宮口から生理的食塩水などを注入して調べます。卵管通水は、卵管の通りを良くするため、治療を目的にする場合も多くなっています。