Kさん (28歳)顕微授精をして3回目の移植で陽性となりました。
経過は順調でしたが、18週で破水し、徐々に羊水の量が減り、21週で人工中絶しました。
産科の医師から、胎盤の病理検査の結果、感染が認められたが破水の原因なのか、破水したから感染したのかはわからないとのことでした。
次回は、通院回数を増やすことはできるが破水を予防することは難しいとのこと。
感染や破水の予防のためにできることはありますか?
10週の時にNIPTを行い、全て陰性。
破水後も胎動も心拍も問題なく、数週相当の成長だったため、胎児の問題はないのではとのお話でした。
胎児要因で破水というのはあるのでしょうか?
感染が起こったための破水でなかった場合、母体要因で考えられることはあるのでしょうか。
それは、不育症の検査でわかるものなのでしょうか。
また、今後も不妊治療をしていきたいと思います。
採卵からになりますが、産後どれくらいから治療開始できますか。
田中雄大先生にお伺いしました。
メディカルパーク湘南 田中 雄大 先生 慶應義塾大学医学部卒業。日本産科婦人科学会専門医、日本生殖 医学会生殖医療専門医。大和市立病院産婦人科勤務、内視鏡手術 の専門病院を目指した矢崎病院婦人科での勤務などを経て、2009年、 矢崎病院に不妊治療専門の湘南IVFクリニックを開設。その後、2012 年にメディカルパーク湘南を開設。聖マリアンナ医科大学非常勤講師。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください
・相談内容を見て、どのような印象をもたれましたか?
FT、タイミング療法、そして体外受精と様々な治療を経て、漸く授かった妊娠だったにも拘わらず、妊娠中期に入る直前での破水は胸が潰れる思いだったと思います。辛かったでしょう。お察し申し上げます。
・感染や破水を予防するためにできることはありますか?
原因にもよりますが、Kさんの文面を拝見する限り、予防的に何か出来ることがあったとは思いません。勿論、感染を惹起するような行為(例えば性交渉など)は、敢えてすることも無いとは思いますが。
・破水の原因は不育症検査でわかりますか? また、調べるための検査として、どのような検査があるのか教えてください。
破水の原因が不育症検査で分かることはありません。また、娩出された胎盤を病理学的に調べて、絨毛膜炎(要するに細菌感染のこと)があったかどうかを確認することはできますが、その感染の原因を同定することは不可能です。ある意味、普通に生活していて、上気道炎などの風邪を引いても、その原因が何なのか、明確に突き止められないのと一緒です。
・産後、治療開始までの期間について教えてください。
月経さえ戻ってくればいつでも再開は良いかと思います。ただし、Kさんの場合、多嚢胞性卵巣症候群があるようなので、元々無月経になっているのであれば、ホルモン値などをみて、正常の状態に戻っているかどうかの確認をすると良いと思います。また、次回の移植の前に、子宮鏡検査を行って、子宮内腔に胎盤遺残などが無いかどうかも確認しておくとよいと思います。(当院では、流産をされた後には、全例に子宮鏡検査施行しています。)
・そのほか、何かアドバイスあったら教えて下さい。
大変お辛いご経験をされたことと思います。ただ、今回の事は、おそらく不可避だったのではないかと思います。妊娠前期から中期の破水は稀ですが、起こりうることです。母体要因の破水もあり得ます。それは、子宮口が開いてしまい、胎胞(羊水の袋の事)が脱出してしまう場合ですが、Kさんのケース胎胞脱出ではないようです。次回妊娠した場合に、同じことが起こるとは限りません。どうぞ、ご自分を責めるようなことはなさらずに、次の妊娠にチャレンジしてください。妊娠出来る体であることはご自分で証明されたわけですから!