「妊娠したら、無事に出産するのは当たり前」と思っていませんか。なかには妊娠後に、思いがけないトラブルに見舞われることもあるそう。日々、生殖医療に従事しながらも周産期医療にも詳しい吉田昌弘先生に妊娠中のリスクや、赤ちゃんを迎える心構えについて聞きました。

レディース&ARTクリニックサンタクルス 吉田 昌弘 先生 京都大学医学部附属病院、大阪赤十字病院、大阪府済生会茨木病院などの産婦人科を歴任。その後、「不妊治療から出産、子育てまで」をコンセプトに「レディース&マタニティクリニック サンタクルス ザ シュクガワ」など兵庫・大阪に4つの施設を展開。

妊娠時や出産時に起こるリスクに注意しよう

たとえば、100人の妊婦さんがいたとしましょう。そのうちの80人は、「医者いらず」といわれる自然な出産を経験します。ただ、残りの10〜20人は何らかのトラブルがあります。トラブルが出産時に起こることも珍しいことではありません。

妊娠中の疾患はたくさんありますが、代表的なのは妊娠時のつわりや切迫流産、出産時の弛緩出血やART妊娠後に起こりやすといわれている癒着胎盤です。疾患によって軽度〜重度まで症状の程度に個人差があります。そのなかには、妊娠中の体重管理や健診をきちんと行い、順調に経過していても、突然、状態が悪くなる人もいます。原因が明確でないこともあり、時に「神様の不公平」としか言いようのないことが起こることもあるのです。

出産は当たり前ではない赤ちゃんの誕生は奇跡

元気な赤ちゃんを迎えるための一つが体づくりです。まずは栄養バランスの良い食事を摂り、健康的な体型(BMIの目安値22)を目指しましょう。痩せすぎは早産や低体重児、太りすぎは妊娠高血圧症などのリスクになります。受動喫煙を含むタバコや少量の飲酒も妊娠に良くありません。

できれば妊活前から婦人科で子宮のがんや性感染症、子宮内膜症などの定期検診を受けておくと、スムーズに妊活に入れます。妊活を始めてもなかなかうまくいかない時は病院に相談し、若年のうちに、早期に治療を始めることが望ましいです。妊活にはおおらかな気持ちが大切ですので、治療が進むなかでつらいと感じる時は、1日1回でも笑うことを心がけてください。

妊娠しても無事に産まれて当たり前ではありません。順調に経過しても突然に状態が悪くなることもあります。無事に赤ちゃんが産まれてくることは、大変感謝すべきこと。産まれてきた赤ちゃんに向けて「あなたは私の奇跡。ありがとう」という言葉がぴったりではないでしょうか。

妊娠後のトラブル

妊娠時

つわり

妊娠後のホルモンバランスの変化で起こる吐き気などの症状。無症状から入院が必要な人まで個人差が大きい。

切迫流産

お腹の張りや下腹部痛、出血などがあり、流産の一歩手前とされる状態。原因が明確でないことも多く、安静が有効とも。

出産時

弛緩出血

赤ちゃんを分娩したあとに良好な子宮収縮が起こらず、子宮から大量の出血をきたす状態。大量出血を起こすと、母体が危険な状態に陥ることがある。

癒着胎盤

胎盤が子宮筋層に強固に付着して剥がれない状態。分娩後に胎盤がなかなか剥がれないことから大量出血を起こす場合がある。

妊娠中の赤ちゃんの性別はいつからわかりますか?

24~25週頃が一般的。当院の性別判定外来では12週でわかります。

赤ちゃんの性別は卵子と精子が受精した段階で決まりますが、実際は超音波検査(エコー検査)で性器の形などを見て判定します。当院は16週の妊婦健診で、希望する人に性別をお伝えしています。さらに当院の「性別判定外来」では、なんと12週ごろに判定が可能です(別途費用が必要です)

双子を希望することはできますか?

母子へのリスクが高く、あえてつくることはおすすめしません。

双子を希望する人は多いですね。双子をつくることは理論的には可能です。ただ、周産期医療の面からは、自然に双子を妊娠するのはいいのですが、あえて双子をつくることはおすすめしません。2人以上の赤ちゃんを妊娠する多胎妊娠は、単胎妊娠に比べて早産、妊娠高血圧症、胎児形態異常などの合併症が起こりやすくなります。特に頻度が高い早産はお母さんだけでなく、赤ちゃんにもさまざまなリスクがあります。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。