エストラーナについて

予定していた胚移植がキャンセルになったらショックですよね。そこで移植中止になる原因と対策について峯レディースクリニックの峯克也先生にお教えいただきました。

峯レディースクリニック 峯 克也院長 日本医科大学医学部卒業。日本医科大学大学院女性生殖発達病態学卒業。日本医科大学産婦人科学教室病院講師・生殖医療主任歴任。「診療後にランチなどを楽しめる場所に」と、2017年に東京・自由が丘に峯レディースクリニックを開院。悩める患者さんの気持ちにしっかりと寄り添った治療やアドバイスを行っている。

奏さん(41歳)

今まで人工授精を3回。その後、体外受精、顕微授精をするために7個採卵。成熟している6個を顕微授精。トータルで胚盤胞までが4個、凍結胚が3個できました。

採卵後の生理周期はお休みし、1カ月空けた別の周期に移植のためエストラーナ(貼付薬)を使用。使用枚数は3枚が3回、4枚が3回、6枚が1回です。その後、超音波検査をしたら卵胞があり、通常の周期よりも大きく25mmに。3日後には35mmになっていて移植中止になりました。

大きくなった卵胞は排卵しないので、卵巣が吸収するまで何もできないのでしょうか。エストラーナを使用しても卵胞ができることは稀なのでしょうか。

 

奏さんが処方されたエストラーナテープは、卵胞ホルモンの薬です。胚移植周期の決められた日から使用することで、子宮内膜を厚くし、子宮を着床しやすい環境に整える働きがあります。

通常、卵胞ホルモンは卵巣から分泌されますが、エストラーナテープを貼っている間は、テープ(薬)から卵胞ホルモンが出ているため、ご自身の卵巣は「卵胞ホルモンが出ているから自分は働かなくてもいいや」と認識するため、お休み状態になります。そのため卵胞も育たず排卵することはありません。

卵巣機能が低い方、シール貼付前に育ち始めていた場合には、卵胞ができることも

 

卵巣機能が低い方で、ごくたまに卵胞ホルモンを補充することをきっかけに卵胞が育ち始めることがあります。また、シール貼付を開始する前から卵胞が育ち始めてしまっていることがあります。この場合は、テープを貼っていても卵胞が成長して大きくなることがあります。

エストラーナテープを使用したホルモン補充周期は、本来ならばホルモン量をすべて薬でコントロールし、日数を計算してもっとも着床しやすい日に移植を行います。でも今回のように想定外に卵胞ができた場合は、その計算が狂ってきてしまうため、どこが着床しやすい日かわからなくなってしまうため、移植を中止にするのがいいでしょう。

テープの枚数を調整し、貼る前に超音波と血液検査でリセットしているか確認を

 

今回のように想定外に卵胞ができて、移植中止にならないようにする対策法はあります。

エストラーナテープを貼る枚数を先生と相談して増やすなど、再度、薬の量を調整してみるといいでしょう。

また、テープを貼る前に超音波検査と血液検査をきちんと行うことが大切です。体がリセットしているか、育ち始めている卵胞などがないかを確認をすれば、想定外に卵胞が大きくなることを防げます。もし確認して体がリセットしていない時はフラノバールなどを服用することで、体をまっさらな状態に戻すことができます。

 

「何もできない」=卵巣の休息時間と前向きに考え、次の移植周期に向けて体を整えておきましょう

 

1日でも早く妊娠したいのに、「移植中止」と言われると、ショックが大きいですよね。奏さんは、「卵胞は排卵することはなく、卵巣が吸収するまで何もできないのでしょうか」とおっしゃっていますが、何もできない=卵巣など妊娠にかかわる器官をしっかり休ませることができる時間でもあります。ゆっくり休息させて次の移植周期に備えるようにしてください。薬でホルモンをコントロールすれば、次は問題なく移植できると思います。

もしご不明な点や心配なことがあったら、ひとりで悩まずかかりつけの先生に相談してみてくださいね。

 

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。