BMI18.5以下では体外受精ができない?
体重の増やし方は?
内田クリニック 内田 昭弘 先生 島根医科大学医学部卒業。同大学の体外受精チームの一員として、1987 年、島根県の体外受精による初の赤ちゃん誕生に携わる。1997 年に内田クリニック開業。生殖医療中心の婦人科、奥様が副院長を務める内科、大阪より月1 回来院の荒木先生による心理カウンセリングとサポート体制が充実している。
アルパカさん(38歳)これまでアンタゴニスト法で3 回採卵、7 回移植をして結果が出ず、転院を考えています。身長は169㎝、体重は48Kg。転院先ではBMI18.5 以上でなければ体外受精ができません。食事を増やし、ジムに通ってプロテインを飲み、ヨガもしています。漢方も試しました。生理は規則的にきます。体重は増やす必要があるのか、その場合にはどうやって増やすのでしょうか? 3 年前に卵管造影の検査をしていますが、転院先でも卵管造影検査は必須だそうです。必要でしょうか?
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体外受精の治療はBMI18.5 以上でなければできないのでしょうか?
内田先生●転院先の先生は、検査に異常があれば治療周期に入らないというポリシーを守っていらっしゃるのかもしれませんね。
BMI は、計算上での体格指数として、肥満の判定に用いられるもので、血液検査をして貧血があるとか、ホルモンレベルがずれているとかを伝えるのと同じ見方かもしれません。ですから、アルパカさんは体重が少なくてBMI が普通体重を下回っている状態だとしたら、体重を少し増やすことでBMI を普通体重域にして、それから治療にのぞみましょう、ということだと思います。
アルパカさんは、努力をしても体重が増えないようです。
内田先生●ジムに通ってプロテインを飲み、ヨガをしているということですが、筋肉を増やして“体を絞る”ことに重きを置いているように見受けられます。プロテインにこだわらず、1日3食をバランスの取れた内容にすることで、体重を自然に増やすことを目指してはいかがでしょうか。単に食事量を増やすのではなく、脂質や炭水化物も適度に摂るなど、食事内容を見直して、体に脂肪をつけることも一つの方法だと思いますよ。
体脂肪は卵巣の働きにどんな影響を与えるのでしょうか?
内田先生●脂肪から分泌されるレプチンというホルモンは、適切な体重の維持に働いているとされています。また、脳に作用して、排卵に必要な卵胞刺激ホルモン(FSH) や黄体化ホルモン(LH)の分泌にも関係があると考えられています。実は、ある程度の脂肪は、女性の卵巣の働きにとても大切なものです。適度な脂肪は体重を支え、卵巣の正常な働きに関与していると考えられます。数値が高すぎるのは問題がありますが、BMI だけではなく、体脂肪率も一つの目安としてみてはどうでしょうか。
転院先では卵管造影検査が必須です。体外受精でも必要でしょうか?
内田先生●体外受精は卵管を使わない治療なので、卵管が通っているかどうかは関係ありません。しかし、卵管水腫で詰まっている状態だと着床障害を起こす可能性があるので、卵管が正しく通っていて水腫がないことを確認してから胚移植するということはあるかもしれません。疑問に思うことがあれば、主治医に聞いてみることも大切ですね。