子宮内膜炎だと排卵後ジエノゲストを服用するものですか?
臼井医院 婦人科 リプロダクション外来 臼井 彰 先生 東邦大学医学部卒業。東邦大学大森病院で久保春海教授の体外受精グループにて研究・診察に従事。医局長を経て、1995 年より現在の東京・亀有にて産婦人科医院を開業。
ふぐさん(30歳)自己流で半年、その後病院で1 年間タイミング法を行っています。5カ月前に子宮鏡検査にて軽い子宮内膜炎が見られたため、その周期はビブラマイシン® と排卵後3~5日後よりジエノゲストを服用。それ以降は、タイミングをとった後にジエノゲストを服用するという方法を繰り返していますが、妊娠に至りません。製薬会社のサイトを見ると、通常、子宮内膜炎の治療は想定していないようで、禁忌情報もあり、不安です。また、夫が喫煙しているのも気になります。
相談者のふぐさんは検査で「子宮内膜炎」が見つかったとありますが、
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「子宮内膜症」との違いを教えてください。
臼井先生● 似たような名前ですが、違う病気です。子宮内の粘膜組織で、受精卵が着床する場所を子宮内膜といいます。子宮内膜炎は、その内膜部分に炎症が起こるトラブルです。着床不全や初期流産を引き起こす可能性があるといわれています。
一方の子宮内膜症は、卵巣など子宮内膜以外のところに子宮内膜、またはそれに似た組織が発生するトラブルです。生理のたびに強い痛みを感じ、出血しますが、血液の行き場がないのでずっとその部分にたまってしまいます。内膜症になると卵巣機能の低下や、卵管と子宮の癒着が起こり、不妊の原因になるといわれています。
子宮内膜炎の患者さんにジエノゲストを処方するのはよくあることですか。
臼井先生●ジエノゲストは、黄体ホルモン剤の1つで、体を閉経状態にし、子宮内膜の状態を落ち着かせる薬です。月経困難症や子宮内膜症の患者さんによく処方されますが、今回のふぐさんのようなケースで処方されるケースは、少ないと考えられます。
一般的にタイミングをとった後は、着床しやすくするために黄体ホルモンを補充しますが、その場合は同じ黄体ホルモンの薬でも穏やかな作用のデュファストンRやルトラールRといった経口薬を処方されることが多いでしょう。ちなみに当院もそうです。
ただ、それぞれの先生によっていろいろな考え方や治療法があります。推測ですが、ふぐさんの主治医は、タイミングや体外受精をした後にジエノゲストを処方したことで、妊娠率が上がったという経験をおもちで、処方されているのではないかと思います。
ご主人の喫煙も妊娠できない原因ではないかと考えているようですが…。
臼井先生●そうですね。タバコは受動喫煙でも良くない影響を与え、妊娠しづらくなる可能性があるため、妊活を機に禁煙してもらってください。
今後どのように治療を進めていくのがいいでしょうか。
臼井先生●自己流でやっていた時から考えるとトータルで1年半タイミング法をやっていると思うので、そろそろ人工授精へのステップアップを検討してみてはいかがでしょうか。主治医の先生にステップアップについて一度相談してみるといいでしょう。