【Q&A】凍結胚盤胞の数の増やし方と移植のタイミングの決め方~浅田先生

体外受精・顕微授精にステップアップした治療のなかで、胚盤胞までは行くけれど、妊娠にはなかなか至らない・・・、そんな悩ましい思いをしている方、多いのではないでしょうか。

どうしたら胚盤胞のその先に進めるのか、浅田先生に聞いてきました

浅田レディースクリニック浅田義正先生  名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の名古屋駅前、勝川、東京・品川にクリニックを開院。著書に『不妊治療を考えたら読む本』(講談社)など多数。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
ゆたさん(31歳)  顕微受精にて治療中です。
一度目の体外受精(アンタゴニスト法)にて9個採卵、そのうち成熟卵5個で受精したのは2個のみ、
そこから凍結できたのは3ACの胚盤胞1つのみでした。
移植し、陰性でした。
二度目の顕微受精(ショート法)にて11個採卵、そのうち成熟卵の9個で受精したのは7個、
そこから凍結できたのは4ABの胚盤胞1つのみでした。
顕微受精で受精卵の数は増やすことができましたが、やはり胚盤胞まで育つ数が少ないです。
どうにか改善できないものでしょうか。
また移植日の決め方ですが、通っているクリニックの移植周期のD15に子宮内膜チェックをし、
D19orD20(黄体補充から5日目or6日目)に決まります。
血液検査でホルモン値を見ることは一切ないのですが、それは大丈夫なのでしょうか。
長くなりましたが、よろしくお願いいたします。

胚盤胞の数というのは「結果」であって、胚盤胞だけを増やすということではありません。

AMHを評価して卵巣予備能に合った適切な刺激を行い、成熟卵が最も多く採れるタイミングで採卵を行う-つまり、成熟率の良い卵子をしっかり確保できたうえでの受精率ということになります。顕微授精の受精率は技術面が大きく影響します。

また、胚盤胞到達率は培養法によって大きく変わります。

私が胚盤胞培養をはじめたのは1998年ですが、その後様々な技術革新によって当院の胚盤胞到達率は向上しました。しかし、全ての施設が同じ技術で培養している訳ではありません。培養液やタイムラプス等の培養器、培養法によって胚盤胞到達率は変化します。

また、同じ培養をしても、最終的にはお二人の遺伝子の組み合わせ等でまた変化するとも考えられます。

このように、胚盤胞到達率というのは、その施設の卵巣刺激法や培養技術そのものだと言えますので、そこに不満があるようであれば転院することをおすすめします。

また、移植時にホルモン値を一切見ることが無いと記載されていますが、刺激時にもホルモン値を見ることが無いのでしょうか?-刺激の際には、ホルモン値を見て刺激法をアレンジしていくことが重要です。

一方、移植時は、途中で黄体ホルモンを測っても何の意味もありません。プロゲステロンは半減期が短く、血中濃度を見て判断しても無駄だという論文が山ほど出されています。

移植時の一番大きなポイントは、黄体ホルモンがいつから作用して何日目に移植するかということです。移植周期15日目に内膜をチェックするというのは納得できません。

自前の黄体ホルモンが出る前に黄体ホルモンを投与し、スタートをきちっとコントロールして内膜の時期を合わせていくことが大切だからです。卵巣刺激時には血液検査でしっかりホルモン値を測るべきですが、移植時は測っても意味がないということを覚えておいていただきたいと思います。

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