【Q&A】2回続けて稽留流産。移植か着床前診断をすべきか~滝口修司先生

ようやく妊娠に辿り着いたと思ったら、稽留流産を繰り返えしてしまう・・・。

次への不安と選択に、心が潰れそうになりますよね。

滝口修司先生に聞いてみました。

滝口修司先生 山口大学医学部医学科卒業。山口大学医学部附属病院、済生会山口総合病院、正岡病院などの勤務を経て、2012年より浅田レディースクリニックに勤務。2017年1月、故郷・広島の玄関口である広島駅前に「IVFクリニックひろしま」を開院。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
アラジンさん(35歳)  一般婦人科から不妊専門クリニックに転院しました。
●1回目採卵(アンタゴニスト法)(体外、顕微併用)
→15個採卵(内8個未熟卵)7個成熟卵→2個体外受精→受精せず。5個顕微授精→2個受精(2日目初期胚グレード2×2個)
●1回目移植(ホルモン補充)→2日目初期胚グレード2を移植→陰性。
●2回目採卵(ロング法)(全て顕微)→10個採卵(内3個未熟卵)7個成熟卵→全て顕微授精→6個受精→2日目初期胚グレード1×2個、6日目胚盤胞2個(4BC、5BC)
●2回目移植(ホルモン補充)(バイアスピリン、タクロリムス服用)
→2日目初期胚グレード1を移植→陽性→心拍確認後7wで稽留流産→自然排出後、流産手術
●3回目移植(ホルモン補充)(バイアスピリン、タクロリムス服用)
→二段階移植、2日目初期胚グレード1+6日目胚盤胞5BC→陽性→胎嚢確認後7wで稽留流産→流産手術+染色体検査→結果待ち
2回続けて稽留流産となり、今、流産物染色体検査の結果待ちです。
残りの凍結胚(2日目グレード1+6日目4BC)を二段階移植するか、採卵し、着床前診断をするか迷っています。
着床前診断をしたい気持ちはあるのですが、今まで2回の採卵で1回目の採卵(アンタゴニスト法)は胚盤胞ゼロ、2回目の採卵(ロング法)は6日目4BC、5BCと胚盤胞にならなかったり、良好な胚盤胞ができず心配です。
採卵するのであれば試してみた方がいいことはありますか?
また誘発方法のロング法でいいでしょうか?

ようやく妊娠に辿り着いたと思ったのに稽留流産を繰り返してしまい、とてもお辛いことと思います。これからどうしたらよいか、戸惑うのは当然です。落ち着いて、ご一緒に考えてみましょう。

次は胚移植がいいか、採卵して着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)がいいか?

流産の経験は、1回だけでも辛いものです。それが2回続いたわけですから、出来ればもう、流産の可能性がある胚を用いた胚移植は受けたくない、と思っておられるのではありませんか。その場合は、PGT-Aが流産回避の決め手になる可能性があります。

アラジンさんの正直な思いを主治医の先生に伝えて、PGT-Aについてご相談ください。

PGT-Aは採卵後の新鮮胚盤胞を生検するのが望ましいですが、必ずしも再採卵を受ける必要はなく、現在お持ちの凍結胚盤胞を融解して生検する選択肢もありますので、ご検討ください。

ただし、今結果をお待ちになっている流産絨毛染色体検査が正常核型であった場合、その結果が本当に絨毛を反映しているのならば、絨毛の染色体異常が流産の原因とは言えないため、PGT-Aを受けても流産回避の決め手にはなりませんのでご注意ください。

逆に、流産絨毛染色体検査で数的異常を認めた場合は、PGT-Aで正常胚を見出すことにより、流産しない妊娠が得られる可能性が高まります。凍結保存してある胚盤胞に対してPGT-Aを施行してもらうといいかも知れません。正常胚が見つからない場合は、再度採卵を施行し、胚凍結しないでそのままPGT-Aを施行し、正常胚を見つけたいところです。

いずれの場合も、ご夫婦の血液染色体検査は有用な情報が得られることがありますので、ぜひ受けられると良いと思います。

また、抗カルジオリピン抗体が弱陽性のためバイアスピリンを用いた低用量アスピリン療法を受けておられますが、検査から3ヶ月以上あいていれば再検してみると良いかも知れません。それにより、例えばヘパリン療法併用の可能性なども選択肢として検討できるかと思います。

なお、形態良好な胚盤胞が得られないことを心配されていますが、あまり気にしすぎない方が良いです。形態評価の優劣とPGT-Aによる染色体異数性の有無とは必ずしも一致しないことを、しばしば経験します。

つまり、形態評価が下位の胚のみが正倍数性であることもありますので、PGT-Aを受けてみる価値は十分あると思います。

採卵する場合の誘発方法について

次に、「採卵する場合の誘発方法」などについてお答えします。

採卵のための卵巣刺激法は、採卵数には影響するかも知れませんが、卵の質や胚盤胞のグレードを左右するとは限らない、と私は考えています。

卵の質、成熟卵数などに影響するのは、採卵を決めるタイミング(いつまで卵巣刺激を行うか)と、卵成熟刺激(トリガー)の方法、およびトリガーから採卵まで何時間か、などが大切だと考えています。

アラジンさんは35歳でAMH 3.05 ng/mlですから、それから期待された採卵数、成熟卵数、正常受精数を過去2回の採卵で得られたかを振り返り、改善点を検討するべきかも知れません。

系統的な良い検査がなされているようなので、引き続き主治医の先生と相談しながら、心を強く持って、粘り強く頑張って欲しいと思います。出来るだけ早く赤ちゃんに出会えるよう、心より祈念しています。ファイト!

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。