良好胚盤胞3回失敗における検査

胚盤胞移植3回失敗。
受けるべき検査や今後の治療方針は?

臼井医院 婦人科 リプロダクション外来 臼井 彰 先生 東邦大学医学部卒業。東邦大学大森病院で久保春海教授の体外受精グループにて研究・診察に従事。医局長を経て、1995 年より現在の東京・亀有にて産婦人科医院を開業。
相談者 : マチさん(29歳)これまで凍結胚盤胞移植を3回してきましたが、1回目(4AA)のみ初期の化学流産、2、3回目(ともに4AB)は陰性でした。3回連続の失敗ということで、通院中のクリニックに反復着床障害の検査を検討したい旨をお話ししたら「検査は意味がない。どんどん採卵して移植を続けるしかない」と言い切られてしまい、困っています。残りの胚は胚盤胞2個(3AC、3BB)と初期胚4個。個人的には、子宮鏡とCD138検査をしてから移植をしたいと考えています。

この方が妊娠できない原因はどこにあると思いますか。

臼井先生●胚盤胞の見かけの評価が良くても、受精卵の中身が良くない、いわゆる染色体異常だった可能性もゼロではありません。マチさんのようにまだ年齢が20代の若い方でも染色体異常は出現します。
 ほかには子宮の環境が悪くて、着床不全を起こしている可能性も。この方は子宮筋腫子宮内膜症(チョコレート囊胞)に罹患した経験があるので、もしかしたらそれらの病気のせいで子宮の環境が悪くなっているのかもしれませんね。

受けるべき検査はありますか。

臼井先生●この方もおっしゃっていますが、まずは子宮鏡の検査を受けて子宮内膜の状態を調べてみてはいかがでしょうか。炎症があるかどうか診て、異常があればお薬で治療ができます。抗核抗体など不育症の一般的な検査も一応受けておいたほうがいいかもしれません。

担当医は「検査には意味がないという考え方のようですが。

臼井先生●「子宮内の菌なんかに妊娠は左右されない。子宮内膜炎という概念自体にエビデンスがない」とおっしゃっているようですね。
 慢性子宮内膜炎や子宮内フローラの検査については「着床障害の改善に役立つ」という報告だけではなく、「検査を受けても変化はほとんどない」という否定的な意見もあります。現段階では、確かなエビデンスがあるのかはっきりしていないのが事実。担当の先生の意見も間違ってはいないと思いますが、比較的手軽に受けられる検査なら受けてみて、状態を改善し、着床にとってマイナスになる要素をなるべく排除しておいたほうがいいのではないかと思います。
 今、着床などに関するさまざまな検査が受けられるようになってきましたが、1つ申し上げたいのは検査=妊娠ではないということ。納得材料にはなりますが、高額な検査もあるので、本当に自分に必要なのかどうかよく検討してから受けていただきたいと思います。

今後どのように治療を進めていけばいいのでしょうか。

臼井先生●当院だったらまず子宮鏡検査をご提案して、異常があれば治療をして子宮内の環境を整えて移植に臨みます。2回連続胚盤胞移植で陰性だったので、次は初期胚でトライしてみるでしょう。攻め方を変えたほうがいいと思いますね。年齢的にまだお若く、自然妊娠も期待できるので、治療の合間にタイミングをとっていただくのも一つでしょう。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。