【Q&A】凍結胚移植日の理想のタイミングと今後の治療方針について~岩見先生

移植に関する理想のタイミングはあるのでしょうか?

岩見先生に聞いてきました

神谷レディースクリニック 岩見 菜々子 先生 札幌医科大学卒業。2014 年より神谷レディースクリニック勤務。日本生殖医学会生殖医療専門医。日本産科婦人科学会認定専門医。日本抗加齢医学会専門医。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

こめこさん(42歳)

夫婦ともに42歳からの不妊治療開始、AMHは今年夏の時点で0.44でした。
AMHは低いものの、その他の検査項目は全て良好とのことでした (体外受精前に5つのクリニックを回って、1cm〜2cmの子宮筋腫が2つありますが妊娠に問題なしと全ての病院で言われています)。
人工授精5回後、10月に初めての顕微授精
生理3日目から注射刺激開始、医師にAMHの割に卵は多く採れそうと言われていましたが「今回は注射薬があっていなかったのかも」
とのことで結果、採卵5個。うち成熟卵2個(3日目初期胚、5日目胚盤胞、共にグレード1)でした。
採卵後は子宮・卵巣に問題なく翌月生理開始3日目からエストロフェムという内服薬を朝晩に服用。生理11日目の受診で内膜は9.3mm。生理18日目からプロゲスタンを服用し、生理23日目に凍結胚移植。移植から1週間後の妊娠判定で残念ながらhcg値は0でした。
なおエストロフェムやプロゲスタンの数値は十分に効いていたそうです。
ネットの知識で5日目胚盤胞は生理19日目の移植が多いと聞き、内膜も十分な厚さだったので医師に日にちの検討をお願いしたのですが、あまり早いのは良くないと言われ、23日目の移植でした。タイミングに問題はなかったはでしょうか。
また、次回は初期胚を残したまま、もう一度採卵から考えています。その際、注射の薬を変えるなどしてもう少し採卵数を増やせるような治療をお願いしました。
何か次回に備えてできる治療やご提案はないでしょうか。

子宮筋腫に関しては5cm以上の筋層内筋腫で子宮内腔に変形を及ぼすような筋腫やや1、2cmでも粘膜下筋腫の場合には影響がある可能性も報告されていますが、複数の施設で影響がない可能性を言われていたようなので、粘膜下筋腫の可能性は低いようですから、影響はないと考えて良いと思います。

AM Hが1年前で0.44とかなり低値であり、年齢も42歳である場合、胞状卵胞が複数見えて刺激を開始した場合でも同様の結果になることはあります。今回の刺激法が合わなかったかどうかの判断は難しいのですが、方法を変えたり、月経周期が変わることでさらに複数個成熟卵が取れることもありますので、次回は他の方法に変えてみるのも一つの方法かと思われます。

凍結胚移植としては5日目以降の胚盤胞の場合には黄体ホルモンを開始した日を0日目としてその後5日目に移植をすることが通常です。ですので、もし月経周期18日目から黄体ホルモンを開始したのでしたら、24日目の移植となることが一般的です。また内膜チェックで受診しているのが11日目とのことですので、最短でその日から黄体ホルモンを開始した場合には月経周期16日目から移植は可能と予想されます。

初期胚を残して採卵するデメリットは特にないかと予想されます。メリットとしてはより早期に再度排卵誘発することで再度移植胚を獲得できる可能性があります。もし初期胚を移植してその胚で流産などがあった場合には採卵が数ヶ月以上先まで難しくなる場合もあり、42歳と43歳では良好胚盤胞獲得率が1年間で20%以上低下するという報告もありますので、早めに排卵誘発を再度行うメリットがあると思います。また採卵数を増やせる方法としては前回の方法を見直し、ホルモンの調整や注射製剤の量の変更、排卵誘発方法の変更などを行うことで増える可能性は期待できると思います。

当院では2回目以降の採卵の時には、卵子の活性化を期待できるようなサプリメントも内服してみることを提案しており、DHEAやアスタキサンチン、メラトニンなどをご提案しています。もしサプリメントの追加を検討されている場合にはこのようなサプリメントを誘発の1ヶ月前くらいから内服してみると良いと思います。

今回成熟卵は2個とのことでしたが、胚盤胞まで到達しており、受精率、凍結率は大変良かったと予想されます。

もし2回以上移植を行っても着床がない場合には着床の窓や子宮内細菌叢を調べる検査など受精卵を受け入れる環境にも目を向けてみるのも一つの選択肢かと思います。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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