40代の不妊治療の心得

知って おきたい ! 40代の不妊治療の心得は?

30代に比べ、妊娠率が下がる40代。

不妊治療をするにあたっては、どんな心構えで臨 むのがいいのでしょうか。

また、どんなことを知っておくべきなのでしょうか。

いくたウィ メンズクリニックの生田先生にお話を伺いました。

 

生田 克夫 先生 名古屋市立大学医学部卒業。名古屋市立大学産科婦人科学教室 助教授、名古屋市立大学看護学部教授などの経歴を重ねたが、不 妊に悩む名古屋の方たちの役に立ちたいという思いで、教育者の立 場を辞して独立。地元・名古屋の中心部、栄に開院し、1986年か ら体外受精の現場を歩いてきた経験と穏やかな人柄で、数多くの患 者さんを妊娠に導く。診療時間後には患者さん一人ひとりにIVF の 個別説明も行う。お忙しい日々が続き、昨年は少し体調も思わしくな かったという先生。年末年始はご自宅でゆっくりと体を休められたとか。 「2016 年は無理せずゆとりをもって、ぼちぼち頑張ります」とのこと。

ドクターアドバイス

「どこまでの治療をいつま でするか」を考え、時間 を無駄にせず、ご夫婦の 人生設計を立てましょう。

不妊治療をするうえで 大切な心構えは?

40代の方が不妊治療を始める前 に、まず大切なことは、治療をど こまで、何歳ぐらいまでしたいか ということを、ご主人としっかり と話し合っておくことだと思いま す。

たとえば 30 代前半の方のよう に、検査を受けて、様子を見なが ら段階を追ってステップアップす るというように、のんびり構えて 治療をすると、いざ体外受精とい う時には、ほとんど妊娠率が出な いという可能性があります。

不妊治療の助成金の問題でいえ ば、今年の1月から初回の助成金 が 30 万円に上がりましたが、 43 歳以上は助成の対象外ですし、助成 の回数も 6 回までというのは変わ りません。

また、女性ほどではないですが、 男性側の年齢も高くなるほど、妊 娠率が低くなるというデータもあ ります。

そして、 40 代で無事妊娠して子 どもを産んだとして、その子が成 人式の時に自分たちが何歳になっ ているのかということも、よく考 える必要はあるでしょう。

要するに、 40 代の不妊治療には あまり時間的な余裕はありませ ん。

治療の内容と年齢的なリミッ トをある程度決めてから不妊治療 を始めることは、望む結果を叶え ることはもちろん、その後の人生 設計においても重要です。

40代の妊娠率は 実際のところ どれくらい?

基本的に 38 歳くらいを過ぎると 妊娠率は急激に下がってきます。

体外受精でも 40 歳で 10 %ちょっ と、2年くらい経つと5%、 43 歳 以上では1~2%の妊娠率になる といわれています。

ですから、一 般不妊治療であまり時間を費やす と、いざ体外受精をという時には 確率が悪くなってしまっていると いう話にならざるを得ません。

ただ、もちろん個人差はありま す。

暦の年齢と卵巣の年齢、卵子 の年齢は必ずしも一致するわけで はありませんし、たとえ 43 歳以上 でも妊娠しないとはいい切れませ ん。

実際、当院でも出産まで至っ た最高年齢は 45 歳です。

40代の不妊治療で 知っておくべきことは?

40代になると卵子の異常が増 え、卵巣の反応性も悪くなります。

特に一般の不妊治療では、排卵を させることはできても、卵子の質 がいいかどうかはわかりません。

いいだろうという想定のもとで治 療をしていくのですが、 20 代でも 3割くらいの卵子に異常があるも のです。

40 歳になると受精卵の8 割くらいに異常が存在するという データもあります。

たとえば 10 個 受精卵があってもまともな卵は2 個ないかも、ということです。

そういう意味でも、 40 代の方の 治療は一般的に時間がかかって しまうものですが、これも個人差 があり、最初から意外といい卵子 ばかり出てくるという方もいます。

そういう場合は早く結果が出 ますね。

やはり確実なのは 体外受精?

確かに、体外受精をすれば受 精卵にする段階で、卵子の質を 見極めることはできます。

しか し、体外受精だから確実だとい うことはありません。

もちろん、最初からある程度の 治療は覚悟していたほうが、確率 は高いといわざるを得ませんが、 若い方でもあまり刺激ばかりす るといい受精卵ができない場合 がありますし、ある程度までやっ て逆効果であれば、治療を軽くし ましょうということもあります。

特に高齢になれば力ずくばかり ではなく、卵巣の調子を見ながら緩急織り交ぜて治療をするのも 大切なことです。

前述の 45 歳で出産に至った方 の中には、一般不妊治療の方も いらっしゃいます。

その方は最 終的には自然周期でした。

卵巣 の機能が衰えて、何をやっても 反応しなくなってしまい、採卵 も十分にできない状態になって、 ご本人たちももう諦めようと 言っていた矢先でした。

排卵期 の途中だったので排卵日を調べ て、タイミングだけとったらい かがですかと言っていたら、そ の周期に妊娠しました。

そういうことを考えると、ど こまでいっても可能性は 0 とは いい切れません。

確率は低いで すね、難しいですねという話は しますが、確率が 0 でない限り は、なんとか頑張ってみたいと いう患者さんの気持ちに寄り 添って、当院でもできる限りの ことはしたいと思っています。

大切なことは、ご本人たちが 納得したうえで治療をすること です。

そのためにも、最初にご 夫婦で話し合っておくことはと ても大切だと思います。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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