【Q&A】3回の胚移植失敗と検査について~丸田先生

移植しても、なかなか結果が出ない…胚盤胞まで育ったのに…

もしかしたら着床障害?

どの検査を受けるべきなのでしょうか?

まるたARTクリニックの丸田 英先生に教えていただきました。

まるたARTクリニック(丸田 英 先生)

久留米大学医学部卒業。名古屋大学医学部附属病院 産婦人科を経て、2012年3月より生殖医療専門。2020年3月、まるたARTクリニックを開業。初診から治療終了まで同じ医師が担当することにより、効率的で高い成功率が得られ、何より患者さまの安心へと繋がると考え、診療に臨んでいる。「どんな時も患者さま第一、患者さまご自身の一瞬一瞬を大切に」を目標に掲げ、不妊治療と仕事の両立に理解ある治療スケジュールを導入。また、PRP療法などの最新治療や無料託児所完備等、不妊治療の環境向上にも積極的に取り組んでいる。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

ピヨさん(29歳)

アンタゴニスト法で採卵し、5つの胚盤胞(4AA、4AB×2、3AC、3BB)と4つの初期胚を凍結。
4AA・4ABの凍結胚を3つ移植しましたが、1度は化学流産(7.7mLU/ml)と2回の陰性(尿検査ずみ)になってしまいました。
体外受精で通院中のクリニックでは受精卵の質のみを重要視する考え方で、内膜やほかの検査を原則しないという方針のため、別のクリニックで検査をしました。
CD138検査→陽性(20視野中38)→ビブラマイシン朝晩2週間→再検査結果待ち銅亜鉛→問題なし Th1/Th2比→11.1(Th1:11.4% Th2:1.3% TH0:1.1%)追加で検査したところ、慢性子宮内膜炎と免疫機能に問題があるという結果になりました。
今回質問したいのは大きく3点あります。

1.CD138再検査の時期について
“基本的に排卵前”と説明を受けていましたが、都合がつかず基礎体温で見ると排卵後5日目ごろの再検査となってしまいました。

担当医師は「それほど影響しないので大丈夫」とおっしゃっていたのですが、検査精度に変わりはないのでしょうか。

2.Th1/Th2比異常によるタクロリムスの服用について
基準値10.3で「やや高め」という説明を受け、タクロリムスを移植2日前から妊娠まで1日1錠の服用を、必須ではないが勧められました。

ただ、ネットで調べると、このコロナ禍で免疫を下げるリスクが高まるとあり、判断に迷っています。

また、この検査や薬自体を否定するという考え方もあるようで、基準値から少し高いぐらいでは気にしなくてもいいのではないかという気持ちもあります。私のような数値の場合、タクロリムスは必要なのでしょうか。

3.ほかの検査の必要性について
3回の失敗というとこともあり、残りの凍結胚を移植する前にできることはしておきたいと思っています。何か他に受けたほうがいい検査はありますでしょうか。

ご苦労されているとお察ししたします。

ご年齢から化学流産を含めて3回の移植で妊娠継続できてないとなりますとやはり、受精卵だけではなく着床に関わる環境を調べる必要があると思います。

すでに検査なさっている子宮内膜炎とTh1Th2に関しては着床の条件として非常に重要と考えています。CD138陽性に対してビブラマイシン投与は古から行われてる治療法で一定の効果が上がっている一方で、現在は炎症の起炎菌を特定して適切な抗生剤投与を行う内膜炎の治療の主流になりつつあります。

また子宮内フローラも着床に関わりがあることも報告されおり、内膜炎の治療だけではなく子宮内フローラも確かめておくと安心です。

ではご質問ですが

1当院では着床環境のタイミングで検査しています。しかし、内膜の炎症は月経周期で結果が変わることは考えにくいために検査の時期はそこまで神経質にならなくてもいいかもしれませんね。

2タクロリムス服用の是非に関してはまだ結論が出ていないのが現状です。ただ全国の多くの施設でth1th2検査を実施しており、10.3を越えればタクロリムスを内服を推奨している施設は増えています。タクロリムスの効果に関して様々な報告があり、一定の効果があると考えていいのではないでしょうか?

3着床のウィンドウという言葉があります。移植するタイミングのことです。子宮内フローラ、内膜の炎症と同様に重要な因子で、反復不成功の場合、これまでの移植のタイミングがご自身にあっていたかどうか確認してみてはいかがでしょうか。

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