コロナ影響が大きいここ最近。ワクチンと妊活の関係について気になる方も多いはず。
そのあたりを藤本先生に伺ってきました。
藤本 尚先生
コロナワクチンは新しいワクチンです。これは‟ワクチンの種類として新しいワクチン”という意味と、‟接種するようになってまだ日が浅い”という意味が含まれています。
ワクチンには大きく分けて、生ワクチンと不活化ワクチンがあります。既に世界中で、いくつもの感染症に対するワクチンがあり、暦年のデータが存在しています。
しかし、今回のコロナウイルスワクチン(ファイザー社製)はm-RNAワクチンという2020年12月から世界で初めて使用される種類のワクチンになります。アメリカでは2億7千万人が接種を終えており、短期的な副反応や、妊婦においては35,000人程度のデータが存在しています。現時点で妊娠転帰に大きな悪影響を与えるというデータは出ておりません。また、妊婦は新型コロナウイルスに感染した場合に、非妊婦と比較して重症化しやすい、また好ましくない妊娠転帰に至る可能性もあると報告されています。一方で新しいワクチンは、接種開始から6か月程度しかたっていないワクチンのため、長期的な安全性に関しては世界中探してもデータがありません。
これらを踏まえてワクチンを接種することによるリスクとメリット、もう一つはワクチンを接種しないことによるリスクとデメリットをしっかり考慮して接種をするかどうかの判断を個人個人が行うしかありません。
前置きが長くなりましたが、妊活に関しても同様のことが言えます。現在まである、特にアメリカのデータ(しっかりとデータが公表されているため)を踏まえて判断するわけですが、アメリカのCDCは“赤ちゃんが欲しい人”として現在妊娠しようとしている人に対して、以下の様に報告しています。
現在妊娠しようとしている場合、または将来妊娠したい場合にも新型コロナウイルスワクチンを接種できます。現時点で、新型コロナウイルスワクチンが出産の問題、および接種後に妊娠した場合に問題を引き起こすという証拠はありません。CDCは、COVID-19ワクチン接種前の定期的な妊娠検査を推奨していません。妊娠しようとしている場合は、COVID-19ワクチンを接種した後に妊娠を避ける必要はありません。すべてのワクチンと同様に、科学者は現在COVID-19ワクチンの副作用を注意深く研究しており、入手可能になった時点で調査結果を報告します。
つまり、アメリカのCDC(日本における厚生労働省に相当する機関)はワクチン接種後に現時点で避妊は必要ないと述べています。
それでも心配な場合には一般的な考え方として(コロナワクチンだからという意味ではなく、ワクチン全般に関しての考え方として)ワクチン接種後1か月程度は避妊する、あるいはより慎重に(生ワクチンと同様と考えて)ワクチン接種後2か月程度避妊するという選択もあります。これについては今ある情報で個々人が判断していくというほかありません。