PGT-Aの適応に関する対応から、転院や治療方法の変更をお考えのようです。
セントマザーの田中先生にお答えいただきました。
田中 温 先生(セントマザー産婦人科医院)順天堂大学医学部卒業。越谷市立病院産科医長時代、診療後ならという条件付きで不妊治療の研究を許される。度重なる研究と実験は毎日深夜にまで及び、1985年、ついに日本初のギフト法による男児が誕生。1990年、セントマザー産婦人科医院開院。日本受精着床学会副理事長。順天堂大学医学部客員教授。
これまでの大変厳しい不妊治療に耐えられておられる姿に敬意を表します。
PGT-Aをお勧めしたいと思います。PGT-Aの適応は二つあります。
一つは習慣流産と、もう一つは反復着床不全があります。
あなたの場合には直近の結果が流産で妊娠していますので、
反復着床不全の適応にはならずまた習慣流産も流産が1回なので適応とはなりません。
今回の流産で絨毛検査はされていませんか?絨毛の染色体検査で異常が分かれば適応となる可能性も出てきます。
また、受精卵の数のわりに胚盤胞の数が少数傾向です。
受精卵の数が20個ということは素晴らしいことですが、その後の発育が少ないということは排卵誘発法の問題だと思います。
排卵誘発法を検討することにより採卵数が20個あれば胚盤胞の数が5~6個できる可能性はあると思います。
自然周期法はあなたの場合にはあまりお勧めしません。自然周期法は排卵誘発をしても卵が数が採れない受精しない、胚盤胞には至らないという場合には適応となりますが、あなたの場合には数も採れ受精卵も胚盤胞まで至っておりますので、あなたの卵巣に合った排卵誘発法を見つけることで対応できると思います。
また受精方法は全て体外受精なのでしょうか?体外受精だけならば顕微授精をされてはいかがでしょうか?
特にピエゾ顕微授精は確実に胚発生がよくなります。前核期胚での移植はあまりお勧めいたしません。
卵は卵巣の反応が非常に良好な方ですので、卵はしっかりと作る方法がいいと思います。
また前核期胚での移植よりも胚盤胞での移植のほうが成績は上がります。
思い切って転院も考えてはいかがでしょうか。
ただし、その際に転院予定している施設にメールを出して、どのような対応になるか
先に聞いておくのもいいのではないでしょうか。
複数の施設にメールを出して、それぞれの施設長の意見を参考にしてどの施設にするかを決められてはいかがでしょうか。
不妊治療は経済的、精神的、肉体的に非常に辛いものです。
特に流産ということで心が折れそうでしょうが、もう少し頑張ってください。
流産手術後は2周期あければ治療に入れると思いますよ。基礎体温は付けておいたほうがいいと思います。