毎回D3のFSH値が20以上。10回採卵しても胚盤胞までたどりつきません
加齢とともに上昇してくるといわれているホルモン「FSH」。年齢が高く、高FSHの場合、どのような方法で採卵するのが適切なのでしょうか。かしわざき産婦人科の柏崎祐士先生に詳しいお話を伺いました。
ドクターアドバイス
高FSHだとどんなに刺激を強くしても反応しません
FSHとはどのようなホルモンなのでしょうか。
FSHは脳下垂体から分泌されるホルモンで、卵巣を刺激する働きがあります。年齢が高くなって卵巣機能が慢性的に衰えてくると、過剰な指令が出てくる。親が子どもに「勉強しなさい!」とワーッと言っている状態ですね。それを聞かずに子どもがさぼっていると、もっとまくし立ててくる。だから値がどんどん上がってくるのです。
D3で20 mIU/ml以上というのはやはり高い数値ですか?
確かに高値だと思います。FSHは閉経すると50 mIU / ml以上に。閉経後の女性の尿にはFSHが多く含まれるので、昔はそれを使ってHMG製剤を作っていました。キャンディさんは、閉経に近づきつつある過渡期にはきていると思います。
ただし、FSH値は月経周期によって変動することがありますし、人によってバラつきがあるホルモン。
この数値で卵子がまったく採れていなかったらちょっと厳しいと思いますが、キャンディさんはまだ採れていますから、「FSH値が20」ということだけで妊娠できるかどうかを判断しないほうがいいですね。
これまでAMH(抗ミュラー管ホルモン)の値を測ったことがないということですが、一度検査を受けられてもいいかもしれません。AMHの値は残っている卵子の数を反映していると考えられています。治療のタイムスケジュールや排卵誘発法を決める時の参考にもなるので、特に高齢の方は測っておくことをおすすめします。
これまで自然周期で採卵されてきたようですが、この方法で合っているのでしょうか。
自然周期で採卵されたことは適切なのではないでしょうか。卵巣を刺激する方法だとFSH製剤を使うことになります。ただでさえFSHが多く分泌されているのに、そこにさらにFSHを加えたら卵巣はそっぽを向いて何もしなくなってしまう。どんなに刺激を強くしても反応がなく採卵数は増えないので、その方法を選択する意味がありません。
現在の方法はこの方に合っていると思いますが、一つ難をいえば、自然周期は排卵をコントロールできないので、採卵のキャンセル率が高くなってしまうということ。お薬で刺激していないから排卵を抑えるという裏技ができないのですね。
自然周期以外での選択肢としては、低刺激法もあるかと思います。クロミッドⓇやフェマーラⓇなど経口の排卵誘発剤を使い、間接的に卵巣を刺激する。自然に近いマイルドな方法なら、弱めながら反応を期待できるかもしれません。
胚盤胞まで到達しなければ初期胚で戻すという選択肢も
卵子は採れても、受精卵がなかなか胚盤胞までたどりつかないようですが。
胚盤胞までたどりつく確率は、全体の受精卵の約半分くらいといわれています。胚盤胞しか移植しないというお考えの施設もあるかもしれませんが、もし胚盤胞までいかなかったら、2日目、3日目の初期胚で戻すという選択肢もあるかと思います。
卵管と子宮という違いはあるにしても、体の中と外では中のほうが胚にとってはよい環境なのではないか、という考え方もあります。とにかく移植をしないと妊娠は成立しませんから、初期胚で戻してみてもいいのではないでしょうか。
まだ治療は続けられる段階ですか。
FSH値だけをみたら30 mIU/mlくらいが限界だと思いますが、それよりも卵子が採れているかどうかが重要。卵子が採れて受精し、受精卵が分割しているようならまだ妊娠の可能性はあります。今の採卵法で数をこなしていくことが一番好ましいのでは。希望を捨てずに治療を続けていただきたいですね。
先生から
FSHの値は目安の一つ。それよりも卵子が採れているかどうかのほうが重要です