Q 卵管に問題があり卵巣年齢も 高め。体外受精はできる?
ドクターアドバイス
子宮卵管造影検査後に骨盤腹膜炎を起 こされたそうです
炎症が落ち着いたら、腹腔鏡手術を受 ける予定とのことです
伊藤先生 右卵管水腫は卵管が分泌液などで塞がってソーセージ状になっていると考えられるので、腹腔鏡下で卵管采の先を広げて卵管が通るような施術をすると思います。
左卵管の閉塞については腹腔鏡下での手術より、カテーテルを腟から子宮内を通して治療するFT(卵管鏡下卵管形成術)のほうが適しているのでは。左右違う方法で治療しなければなりませんが、経過を見て卵管の通りがよくなれば一般不妊治療で妊娠する可能性も。腹腔鏡手術後、1、2周期ほど間を置けば不妊治療を開始することができます。
葉月さんにとって、一番重要な不妊治 療のポイントは?
伊藤先生 ホルモン数値について、FSHは 8 ・ 91mIU / ml と高めですが、まだ2 桁にはなっていません。問題なのはAMH(抗ミュラー管ホルモン)の値で、0・24ng/ ml とかなり低めです。通常、年齢 による平均値は 40 歳で1 ng / ml 、 45 歳でng/ ml 程度ですから、葉月さんの値は50 歳近い。閉経前くらいの数値といえま す。残っている卵子の数が少ないという ことなので、とにかく早めに体外受精に 臨んで卵子をある程度確保しておくこと が一番重要なポイントですね。
多めに採れれば受精卵を凍結してお く。AMH値は卵子の質を表しているわ けではないので、良い卵子が採れれば妊娠の可能性は十分あると思います。
体外受精で臨むのなら、卵管の治療は しなくてもいいのでしょうか。
伊藤先生 確かに体外受精では卵管を使いませんが、卵管水腫があると細菌や毒素、サイトカインなども含まれる内容液が子宮まで流れてきて、その影響で着床環境が悪くなってしまいます。
体外受精に進むとしても、その前に腹腔鏡手術で溜まった液体を排出して中をきれいにする処置を行うか、不妊治療を体外受精に絞るということなら卵管を切除してしまうという選択もあるでしょう。いずれにせよ、まずは腹腔鏡手術を受けて、中の状態を一度確認しておくことをおすすめします。