卵胞が大きすぎ点鼻薬のやめ時もギモン

Q 採卵前の卵胞が大きすぎて心配。 薬の使い方にもギモンが…

小川 誠司 先生 名古屋市立大学医学部卒業。2010年、慶應義塾大学大学院博士課 程(産婦人科専攻)入学。2014年、慶應義塾大学病院産婦人科助教。 2018年から荻窪病院に勤務。日本産科婦人科学会産婦人科専門医。 婦人科、不妊治療すべての女性のパートナードクターを目指し、質問しや すい雰囲気づくり、わかりやすい言葉での説明を心掛ける。
あおいさん(36歳)からの相談 Q.体外受精3回目で、採卵を4日後に控えています。前回は 2回とも採卵前に排卵してしまい、採れた卵子が少なかっ たのです。いま採卵前なのにすでに卵胞が26mmと大きく、 ほかにも20mmを超えるものもあります。ショート法で点 鼻薬(スプレキュアⓇ)を続けていますが、採卵の前日朝 まで使うように言われています。一般的に点鼻薬は、採卵 の前々日のHCG注射時にやめる場合が多いようですが …。看護師さんに聞いても先生からの指示なので、と言 われるだけです。26mmと大きい卵胞があるのに4日間も 待ち、前日まで点鼻薬を使うものなのでしょうか? このこ とによって悪影響がないか、前回と同じように結果が出な かったらどうしようかと不安で不安で仕方ありません。

相談者のあおいさんが行っているショー ト法とは、どんな卵巣刺激方法ですか。

小川先生  GnRH アゴニストという排 卵誘発剤の点鼻薬(ナサニールⓇやスプレ キュアⓇ)を使う刺激法には、ロング法と ショート法があります。ショート法では、 生理の1~3日目以内に点鼻薬を開始し、 併行して HMG も注射しながら卵胞を育 てます。GnRH アゴニストには、長期 に使うとホルモンの分泌を抑えて「排卵を 制御する」効果があるのですが、点鼻薬を 開始した直後は「卵胞を育てて排卵を誘発 する」という真逆の現象(フレアアップ) が起きます。この現象を利用して、短期間 で採卵にもっていくのがショート法です。

ショート法のメリット、デメリットは?

小川先生 メリットはフレアアップを起こ すときに、患者さん自身が分泌している卵 胞を育てるホルモンを利用するので、投与 する HMG の注射量がロング法に比べて 少なくすみます。同時にホルモンを抑制す る期間も短いので、卵巣機能が低めの方に も行えます。一方、採卵の引き金をひくた めの HCG 注射が必要になるため、卵巣 過剰刺激症候群(OHSS)のリスクがあ ることと、フレアアップが卵子の質に悪影 響を与えるという報告もあります。

先生がよく行う卵巣刺激法はありますか。

小川先生 患者さんの卵巣機能はもちろ ん、周期によってホルモン状態が大きく変 動するので、臨機応変に対応しながら治療 を行います。刺激法にはいくつかあります が、卵巣機能がよい状態に保たれている方 にはアンタゴニスト法が第1選択です。比 較的高齢でアンタゴニスト法でよい結果が 得られなかった方は、胞状卵胞数(AFC) が保たれており、刺激で採卵数が見込め そうな場合にショート法を第2選択としま す。OHSS のリスクのある方は低刺激 法が第1選択です。

相談者の採卵の進め方はどう思いますか。

小川先生 あおいさんが心配されている 採卵前の卵胞サイズですが、一般的には20 mm前後です。刺激法は卵胞の成長にバ ラツキが出ます。前回2回の採卵数が少 なかったとのこと。先生はほかの卵胞の 成長を見込んで、より多くの成熟卵が採 れそうな時期を狙って採卵日を決めたの ではないでしょうか。

点鼻薬をやめるタイミングについては?

小川先生 おっしゃるように HCG 注射 の日にやめるのが一般的ですが、何か先生 の意図や根拠があってのことでしょう。生 殖医療の分野は、100人の先生がいたら 100人が同じ治療ということは非常に少 なく、先生の経験値や考え方に基づくこと が多いのです。患者さんは一つひとつ納得 して、不安を取り除きながら治療を受けら れることがとても大事です。

私の場合、移植してうまくいかず次の治 療をご提案する時は、私なりの明確な根拠 を患者さんに説明するようにしています。 生殖医療は決して安価な治療ではありませ んし、時間も貴重です。看護師さんを通し てでも、ぜひ先生に臆することなく質問し てみましょう。

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