Q 6回の移植で2度の流産。 PCOSによる卵子の質が原因?

宮崎 和典 先生 大阪医科大学医学部卒業。学生時代の新生児医療への興味がきっ かけとなり、体外受精や不妊治療の世界を志す。同大学産科婦人 科講師を経て、1992 年に不妊症、不育症治療専門クリニック、宮 崎レディースクリニック開業。平成 29 年 4月、クリニック名を「うめ だファティリティークリニック」と改称し、名誉院長就任。

ドクターアドバイス

●PCOSの程度はさまざまで、必ずしも卵子の質が悪くなるとは限りません。
●OHSSのリスクを軽減するアンタゴニスト法で、いい卵子が育つ可能性も。
モモさん(34歳)からの相談 Q.32歳の時にフォリスチムⓇを使用し、ロング法で採卵。 25個のうち9個が胚盤胞になり、計6個の胚盤胞を4 回移植しましたがすべて陰性でした。そして、33歳の 時にHMGフェリングⓇを使用し、再度ロング法で採卵。 20個のうち13個が胚盤胞になり、2回移植して妊娠し ましたが、1度目は稽留流産、2度目は5週で不全流産 しました。陰性判定や流産が続いたのは、PCOSによる 胚の質の低下が関係しているのでしょうか? 2度目の採 卵で妊娠はしましたが、流産を繰り返しています。この時 の受精卵で再び妊娠し、出産できるのかとても不安です。

PCOSによって卵子の質は低下するの でしょうか?

宮崎先生 PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)は、若い女性に多くみられる排卵障害です。脳下垂体から分泌されるFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体化ホルモン)のバランスが崩れることによって男性ホルモンが優位になり、うまく排卵できなくなります。PCOSの程度はさまざまで、卵子の質が悪くなる人もいますが、必ずしもすべ ての人に当てはまるとは限りません。

採卵時は妊娠の確率を高めるために、一番大きく育つ主席卵胞から小さな卵胞まで、できる限り多く採りますので、未成熟な卵胞の確率が高くなる可能性があります。それと、人によっては未成熟な卵胞ばかりたくさん育ち、卵胞がセレクションされにくい卵巣環境にあると、そもそも成熟した卵子が採卵できないこともあります。

これまでロング法を2回行っているそう です。排卵誘発法も卵子に影響しますか?

宮崎先生 1回目は 25 個、2回目は 20 個採 卵されていますね。妊娠の確率を高めるために、どうしても採卵数が多くなるのはやむを得ないのですが、それにしても多いと思います。ロング法はたくさん採卵できる メリットがある一方で、採卵後に卵巣が腫れるOHSS(卵巣過剰刺激症候群)のリスクが高くなります。OHSSの疑いがあれば、ロング法よりもアンタゴニスト法(調節卵巣刺激法)のほうがいいでしょう。
当院では、月経3日目からHMG製剤を注射し、卵胞がある程度発育してきたらGnRHアンタゴニスト注射をして排卵をうながします。この方法はショート法やロング法 のような点鼻薬を使わず、基本的に注射剤だけなので刺激が少なく、卵巣が腫れにく いメリットがあります。また、注射剤の量を加減することでOHSSのリスクを圧倒的に低くすることができます。そのほか、 OHSSを回避する目的で、レトロゾールなどアロマターゼ阻害剤(自費診療)を選択できるところもあります。

最後にアドバイスをお願いします。

宮崎先生 1回目の採卵 25 個で胚盤胞9個、 2回目の採卵 20 個で胚盤胞 13 個になってい ますし、残念ながら流産とはいえ2回の妊娠歴があります。ロング法が向いていない ことはないと思いますが、排卵誘発法を変えてみるのも一つの方法です。先述のように、ロング法よりも少ない刺激でOHSSのリスクを軽減できるアンタゴニスト法であれば、もっといい卵子ができる可能性はあります。

また、良好胚を複数回移植しても着床しない場合は、着床に最適な移植時期を調べられるERA(子宮内膜受容能検査)を活用してもいいかもしません。当院にはこの検査で妊娠された方もいます。それと流産と不育症は直接関係ありませんが、2回流産を繰り返していますので、念のため不育症検査をされてみてはいかがでしょうか。

>全記事がドクター編集!

全記事がドクター編集!

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。