子宮内膜症、卵巣嚢瘍 でも 良い卵子を採って 着床できますか?
子宮内膜症と卵巣嚢瘍になり右の卵巣からしか採卵できない状態に。
着床不全でもある状況で右の卵巣を頼りに完全自然周期で採卵をする べきか、刺激周期でいくべきか。
厚仁病院の松山先生に伺いました。
ドクターアドバイス
これまでの治療データ
検査・ 治療歴
不妊の原因と なる病名
精子 データ
漢方・サプリメント の使用
まず、着床不全についてはどのように判断できますか。
松山先生 プロテインC活性、第 12 因子ともに低いことについては、低用量アスピリン療法で対処しているようなので妥当かと思います。また、 Th1/Th2 比についてですが、Th1 は細胞やウイルスなどの異物に反応して 抗体を作り、 Th2 はアレルゲンに反応すると いわれています。妊娠とも密接に関係していて、 Th2 が高いと妊娠に適しており、 Th1 が 高い場合は流産率が高くなるといわれています。
ビタミン D が少ないのも要因の一つです。これらの結果を見ていても、これだけしっかり調べているので、ほかにもいろいろな検査をしているのだろうと思います。FSH製剤の使い方も妥当と思われます。原因を追求し、計画を立てて対処してくれているのだと思いますよ。
また、移植については 3 回目で 2 つの凍結胚による移植を行うなど、毎回いろいろなことを考えながら対処しているのだと思われます。
もともと子宮内膜症だったブリックさんは卵巣嚢瘍になってしまい、左の卵巣からは採卵できないといわれたそうですが、左の卵巣の治療方法はないのでしょうか。
松山先生 ブリックさんはチョコレート嚢腫があると書かれていますね。チョコレート嚢腫がある人は若干ながら卵巣嚢瘍になりやすいといわれています。書かれた状況を読み取ると、左右の卵巣にチョコレート嚢腫があり、左の卵巣は超音波で見た限り大きくて採卵を妨げているようですね。そうなるとやはり右の卵巣から採卵していくことになるでしょう。
チョコレート嚢腫に対して機能温存手術ができる状態であれば、やる価値はあるかもしれません。機能温存手術とは、チョコレート嚢腫のみを摘出し、本来の卵巣組織を温存する手術法です。この方法は内膜症の再発の可能性はあるものの卵巣機能の低下は防げます。場所や大きさにもよりますが、検討の価値はあると思います。
右の卵巣から採卵していく場合、完全自然周期がいいのでしょうか。
松山先生 私は自然周期か低刺激周期を検討してみてもよいだろうと思っています。実際に、完全自然周期法を試したところ 1個採れたものの受精しなかったわけですが、ご本人としては、これまで何度も排卵誘発剤を使ってきたので、もっと卵巣にやさしい方法を試したかったのかもしれませんね。
ただ、完全自然周期の場合は採卵数は大抵 1 個なので、発育停止となることもあります。そこで、刺激周期法に比べて卵巣への負担が少ない低刺激周期法を考えてみてもよいのかもしれません。採卵数が少ないという点で不利に思われるかもしれませんが、私の経験上、質はそう悪くないと思います。また、年齢が上がると刺激周期法も低刺激周期法もそれほど採卵数は変わらないことが多いです。それなら、卵巣にとって比較的やさしい方法で排卵できる方法がいいのではと考えます。