Q なかなか移植まで至りません。 もう治療を諦めるべき?
ドクターアドバイス
9カ月前に子宮内膜症や子宮筋腫などの手 術を受けたのにもかかわらず、また再発をし たということです。
受精率が低く、胚盤胞までいかないとい うのは、やはり卵子の質が悪いからなので しょうか。
永井先生 確率は低いけれど一応受精はして、でも、その後がうまくいかないということは、やはり卵子の質が悪いことが考えられます。AMH(抗ミュラー管ホルモン)の値が低いのが気になりますね。これは卵巣の予備能、残っている卵子の数を表して いる数値といわれ、卵子の質とは関連していませんが、低いとそれだけ妊娠のチャンスも少なくなってきているということです。
さらに気になるのがFSHの数値。年齢の割に極端に高く、閉経に近い数値です。これは子宮の疾患があるから上がってしまったということではなく、もともと卵巣の働きが悪く、早発閉経になるような傾向があったのではないでしょうか。
確かに厳しい状態ですが、AMH値 0.1 以 下の方でも妊娠している方はいらっしゃいます。FSHに関しても、カウフマン療法 などでFSHを一度下げて安定させてから排卵誘発を行えば、妊娠するチャンスはあると思います。
治療する際のポイントなどはありますか。
永井先生 これまでどのような方法をとってきたのかわかりませんが、もし同じような形で卵子をつくっていたのなら、排卵誘発の方法を変えると胚盤胞までいく可能性が出 てくるかもしれません。
卵子をたくさん採ることを目指すのでは なく、このような状況の方は低刺激でいいものが出てくるのを待つという方法もある かと思います。ただ、採卵は急いだほうがいいでしょう。採れるうちに卵子を確保し て受精卵を凍結し、再手術に臨むならその後に受けることを考えます。移植は急ぐことはありませんから。とにかく採卵を優先したほうがいいと思います。
「嚢腫が邪魔をして採卵しにくい」という ことについてはどう思われますか。
永井先生 これは無麻酔だから採りにくいということですよね。それなら、麻酔をして採卵をすれば問題ないでしょう。施設によっ て考え方が異なるかもしれませんが、ちよさんのような症例にも対応できる施設はあると思います。いろいろ問題があってハードルは高めではありますが、できることはまだあるはず。ここで諦めることなく、前向きに治療に臨んでいただきたいですね。