初HMG注射使用時の避妊指示について

HMGで誘発をすると 卵子の質が落ちる?

また、多胎になる確率は?

スミレさん(30歳)からの相談 Q.PCOSで不妊治療中です。クロミッドⓇで卵子が育たず、今周期からHMG注射(8 月22日からほぼ1日おき計5本)を始め、8月26日の内診ではあまり変化はあ りませんでしたが、8月31日の内診で、30㎜前後の卵胞がたくさんできていました。 「一気に排卵するのは避けたいので、HMGを使うのはやめましょう」と医師にいわ れ、その後体温が上がり、自然排卵したのだと思います。医師から避妊指示がなかっ たため8月26日と28日に仲良ししましたが、9月1日にOHSSの症状が出始めて 4日後に病院へ行ったら「当然、今周期は避妊していますよね」といわれ、聞いて ないこちらはびっくりしてしまいました。もし今周期妊娠していたとしたら卵子の質 は大丈夫なのか、多胎の可能性はどれくらいあるのか教えていただけますか?
永井 泰 先生 東京医科大学医学部卒業。産婦人科・麻酔科認定医。1989年、 埼玉県三郷市に開院。さらに環境を整え、より良い医療を提供する ために、2015年に診療所から病院へ改組。産科、婦人科をはじめ、 不妊治療、形成・美容外科、小児科と、女性が生涯関わる総合的 な医療を、温かく、優しい環境の中で提供。特に「食」には力を入 れており、4人の管理栄養士のもと、患者さんに合わせたきめ細かい 栄養指導を行っている。趣味は卓球とサックスの演奏。

初めてHMG注射による治療をされたということですが。

永井先生 当院もそうですが、排卵誘発を行う場合、最初は刺激がマイルドな飲み薬のクロミッドⓇから始めることが多いと思います。
それだけでスムーズに排卵される方もいますが、重症のPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)だと、クロミッドⓇ単独で排卵を起こすのが難しい場合があるんですね。
おそらくスミレさんもそのケースに該当し、さらに強く刺激をするHMGというお薬を使うことになったのだと思います。
刺激が強い分、この療法の効果は高く、卵管障害や精子不良など、ほかに問題がなければ 90 %の女性が排卵します。
その うち 1 〜 2 年以内に 50 〜 70 %が妊娠する といわれています。
タイミングさえ合えば、かなりの率で妊娠するんですね。
ただし、副作用を起こす確率もクロミッドⓇと比べると高くなり、代表的なものはスミレさんも心配されている多胎の発生とOHSS(卵巣過剰刺激症候群)です。

多胎になる確率はどのくらいなのでしょうか。

永井先生 多胎率については、クロミッドⓇだと約 8 %ですが、HMGだと 15 %。
自然妊娠だと双子になるのは1〜2%ですから、排卵誘発剤を使うと多胎になる確率が上昇することは確かです。
特にHMGの場合は5、6人に1人ということですから、かなり高まると考えていいでしょう。

HMGの使用で卵子の質が落ちるということはありますか?

永井先生 排卵誘発をして卵子の質が落ちることはないと思います。
それで妊娠して、赤ちゃんに異常が出るということもありません。
誘発しなかった場合と同じだと考えていただいていいと思います。

担当の先生から指示をされなかったということですが、本当は避妊したほうが望ましかったようですね。

永井先生 現在の産婦人科診療ガイドラインだと「 16 ㎜以上の卵胞が4個以上に なった場合はタイミングをやめて、その周期はキャンセルしなさい」となっているので、通常なら患者さんに避妊の指示をしなければいけないと思います。
どうしてもお子さんの希望が強い場合、リスクをきちんとお話しした上で治療を行う施設も少なからずあります。
当院でも、患者さんの意思を優先する場合もあります。
スミレさんは今、不安と迷いの気持ちでいっぱいだと思いますが、妊娠して、もし双胎であっても産科的リスクは比較的少ないので、経過をみながら、担当医の先生、ご家族とよく相談して、納得できる形で進めていただきたいですね。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。