高度不妊治療の移植前について

移植前に性交渉をもったほうが着床率が上がる?

臼井医院 婦人科 リプロダクション外来 臼 井 彰 先 生  東邦大学医学部卒業。東邦大学大森病院で久保 春海教授の体外受精グループにて研究・診察に従 事。医局長を経て、1995 年より現在の東京・亀有にて産婦人科医院を開業。

相談者:早くコロナが落ち着きますようにさん(38歳)現在、体外受精を3回試みましたが、そのうち2回は陽性 が出てすぐに流産、1回は陰性でかすりもしませんでした。 ネット検索をしていると、高度不妊治療の移植前には性交渉を行ったほうが着床の確率が上がるという内容を目にしま  した。精液が体に作用して着床しやすくなるという内容です。初期胚の場合は移植の5日前に、胚盤胞移植の場合は2、 3日前に性交渉を行うことが望ましいとのことでしたが、本当のところはどうなのでしょうか。教えてください。

 

移植前に性交渉をもつと着床率が上がるというのは本当なのでしょうか。

臼井先生●確かに「移植の前には性交渉をもったほうがいい」という論文はたくさん報告されています。凍結融解胚移植の場合だったら、性交渉をもったほうが望ましいでしょう。なぜかというと、精液の精漿という部分に含まれている成分が母体の免疫機能を上げて、着床しやすくさせると考えられているからです。

通常の性交渉はもちろん、移植前に人工授精したほうが妊娠率の向上が期待できるというデータもありますね。

当院では、患者さんに聞かれた場合は「移植前にタイミングをとるようにしてください」とお話ししています。

逆に性交渉をもってはいけないケースはありますか。

臼井先生●新鮮胚移植の場合は注意をしたほうがいいでしょう。最終的にできた受精卵が3個くらいなら性交渉をもつことのメリットはあると思いますが、10個以上など数が多い時はおすすめしません。多胎になる危険と、 OHSS(卵巣過剰刺激症候群)を引き起こすリスクが高くなってしまう可能性があるからです。

ほかに移植と性交渉について注意すべき点は?

臼井先生●移植したあとに関しては、移植 10 日後くらいに性交渉をもつと流産率が上がってしまうという報告があります。性交渉の刺激で子宮が収縮してしまい、それが流産を引き起こすのではないかと考えられているようです。

着床率アップのために、性交渉以外で  できることはありますか

臼井先生●受精卵を移植する前に子宮内に培養液を注入するSEET法や内膜を削るスクラッチなどのほか、移植する日が内膜の受け入れ状態とずれていないか検査( E R A 検査)をして、ずれがあるようなら適切な日に戻すようなやり方もあります。当院では、どちらかというと移植日を少し後ろにずらすようにしていますね。そのほうが着床率は上がるようです。

あとはサプリメントの摂取。当院では特にビタミンDをおすすめしています。ビタミンDには子宮内膜の環境を 良くする働きがあるといわれ、流産を起こす方はこのビタミンが足りていないという報告も。鰻などに多く含まれるビタミンですが、毎日食べるわけにはいきません。サプリメントを上手に活用していただき、できるだけ子宮環境を良くしてから受精卵を戻すようにしています。

 

 

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。