黄体機能不全の疑いが。

ホルモン剤を使用せず、 治療することは可能?

臼井 彰 先生 東邦大学医学部卒業。東邦大学大森病院で久保春海教授の体外 受精グループにて研究・診察に従事。医局長を経て、1995年より 現在の東京・亀有にて産婦人科医院を開業。この春、息子さんと 甥御さんが揃って医師国家試験に合格し、臼井先生も後継者誕生に ひと安心。「自分と同じ道を選んでくれたのは正直うれしい。早く一人 前になって、サポートしてほしいですね」と、にっこり。
みづきさん(39歳)からの相談 Q.黄体ホルモンの数値が7.5ng/mlでした。月経周期は30日前後で、いつも 生理の 12 日前に体温が下がり、3 日後に1 週間高温になります。医師からは、 黄体ホルモンの数値の低さと高温期の短さから、黄体機能不全ぎみと言われま した。過敏性腸症候群が原因で腸が卵巣を圧迫しているため、排卵を確認する こともできません。LHも低く、排卵検査薬も反応しません。ホルモン剤で乳 がんが発生した知人が複数名いるので、なんとかホルモン剤を使用せずに妊娠 したいと願っています。現在は、ビタミンEと漢方薬の服用、冷えないように 努めていますが、今のところ変化はありません。ホルモン剤を使用せずに黄体 機能を高めるには、どうしたらよいでしょうか?

ホルモン値の目安

黄体ホルモンの数値が 7.5ng/ml で黄体機 不全ぎみとのこと。妊娠の可能性は?
臼井先生 数値は周期によっても違いますし、黄体期の何日目に測っているのかが明確でないので何とも言えませんが、目安として10ng/ml は欲しいところです。
7~8 ng/ml あるのなら排卵はしているでしょうし、可能性はありますが、クロミッドⓇなど排卵を誘発するホルモン剤を補って数値を上げるのが一般的な治療法で、妊娠率は確実に上がります。

ホルモン剤とガン

ホルモン剤には抵抗があり、乳がん発生との関連性を心配されています。
臼井先生 少し、勘違いされているのかもしれませんね。
確かに、更年期症状の改善などで用いられるホルモン補充療法では、「乳がんを発生する危険性が高くなる」という説もあり、実際上昇傾向にはありますが、それもほんのわずか。
実際は、肥満や遺伝といった因子のほうが発生率は高いのです。
また、更年期症状の改善には5~ 10 年と 長期間ホルモン剤を使用しますが、不妊治療では数週間。黄体機能を高めるために短期間ホルモン剤を使用したぐらいでは、乳がん発生の可能性はないと言っていいでしょう。

それ以外の道

ホルモン剤を使用しない場合は?
臼井先生 漢方薬は“性”に合えば有効ですが、服用されているのに変化がないということは、効いていないということ。
処方がみづきさんに合っていないのか、効きにくい体質なのかは、判断しかねるところです。
腸が卵巣を圧迫していて排卵も確認できないとのことですが、原因が過敏性腸症候群とは私としては考えにくい。
見られないのは腸の癒着によるものかもしれないので、まずはきちんと腸の検査をして、原因をはっきりさせたほうがいいかもしれません。
排卵検査薬も 1 日に複数回使用するなどすれば、排卵を確認できる場合もあります。
いずれにしろ、排卵日が確認できないとタイミング療法も難しくなります。
腸の機能が落ちていると漢方薬も効きにくいので、どうしてもホルモン剤に抵抗があるのなら、腸の調子を整えることから始めましょう。

医師の指示の元…

今後は、どのように治療を進めるべきでしょうか。
臼井先生 みづきさんは年齢も 39 歳ですし、 このまま同じように治療を続けても、なかなか良い結果を得るのは難しいのではないでしょうか。
ホルモン剤は医師の指導下で適切に使用すれば、決して怖いものではありません。
また、いくつかの種類があり、当院ではデ ュファストンⓇという天然型のものをファーストチョイスとしてお出ししています。
副作用の少ない薬ですが、個人差があるので、担当医とよく相談し、ご自分に合うものを使用されたほうが早く結果が得られると思います。
不妊治療に使用するホルモン剤と乳がんとの関連性は否定しますが、それでも乳がんを心配されるのなら、不妊治療と並行してきちんと定期検診もなさってください。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。