市販の妊娠検査薬、 どの時期に使えば 妊娠と判定できる?
柏崎 祐士 先生 京都府立医科大学医学部卒業。2000年まで日本大学板橋病院で 主に不妊治療に従事し、その間、米国エール大学医学部産婦人科 で研修。その後、「かしわざき産婦人科」副院長に。日本生殖医学 会生殖医療専門医、日本産科婦人科学会認定医。O 型・おとめ座。 今春、お子さんが独立して、うれしいとともに寂しさも。ご家族でケン カをしても、お嬢さんたちがいると楽しかったとか。それでも、スタバ、 鉄道、車、アイドル(!?)と多趣味な先生、私生活も充実されています。
マンゴーさん(27歳)からの相談 Q.今、ドキドキ高温期16日目のマンゴーです。不育症で、これまで妊娠2回。 その2回とも流産を経験しています。生理はぴったり来るタイプで、昨日、妊娠検査薬を試してみましたが、結果は陰性でした。検査薬は1週間後に使う予 定なのですが、生理予定日前に薄茶色のおりものがあったので「着床出血かも」 と気になってしまい、ついフライングしてしまいました。前回(10週で流産し てしまいました)は生理予定日当日にくっきり陽性反応が出たので期待しました が、ダメでした。今後の参考のために教えていただきたいのですが、妊娠した 場合、妊娠検査薬はいつ陽性になりますか?
着床出血とは
マンゴーさんが心配されている「着床出血」とはどのようなものなのでしょうか。
柏崎先生 着床出血は排卵して2週間目頃に、多少出血が見られる現象です。
点状だったり、茶色いおりもののような形で出血しますが、原因についてはまだはっきりわかっていません
気にされる方が多いようですが、僕はあまり問題にしていません。
この時期に少量の出血があっても、のちに流産しやすくなるといったようなことはないので、それほど心配されることはないと思います。
妊娠検査薬の仕組み
市販の妊娠検査薬はいつ頃使うのが望ましいのですか。また、妊娠を判定する、そのしくみについても教えてください。
柏崎先生 まず、しくみについてご説明しましょう。
女性は妊娠すると、赤ちゃんを育てようという機能が働き出します。
体の中でさまざまな変化が起こってくるのですが、その一つとして、着床して初めて絨毛細胞(着床して初めて形成される細胞)からh CG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)というホルモンが出てきます。
分泌されるのは、排卵してだいたい2週間後から。
妊娠検査薬はこのしくみをもとに、尿中にHCG量がどれくらいあるかで妊娠を判定しているんですね。
妊娠成立のHCG量の基準値は、排卵2週間後で 30 ~ 50IU /L程度。
一般的な妊娠 検査薬は 50IU /Lから反応するものが多い ので、排卵から2週間後、生理予定日に使ってはっきり反応が出た場合は、妊娠はまず間違いないといえるでしょう。
市販の検査薬で反応が出れば、妊娠は確定的と考えていいのでしょうか。
柏崎先生 最近の検査薬の精度は高いので確かに目安とはなりますが、濃く出たり薄く出たり、リトマス試験紙のようにあいまいな部分もあります。
反応が出た場合はまだいいのですが、反応が出なかったからといって妊娠していないとはいいきれません。
最終的な判断、特に不妊治療を行っている方は必ず病院で、血中の h CG量を正確に調べて判定していただきたいと思います。
妊娠判定は最初の一歩
ほかに何か注意する点はありますか。
柏崎先生 だいたい排卵から2週間で反応が出るといいましたが、それよりも遅く出た場合は流産率が高くなる場合があるので、きちんと検査を受けていただきたいですね。
また、不妊治療をしていない方でも生理の量が極端に少なかったり「いつもの生理と違うな」と思ったら、子宮外妊娠などを見逃してしまわないよう、念のため検査薬を使って調べていただきたいと思います。
検査薬をはじめ、ホルモンによる妊娠判定は重要ですが、あくまでも一次試験の結果発表。妊娠の維持が確定されるのは、妊娠5週、超音波で胎のうがちゃんと見えたかどうかということになってきます。
最終ゴールは元気な赤ちゃんを出産することですから、妊娠判定はまずは最初の一歩であると考えていただきたいですね。