結婚2年で妊娠しないのは 無精子症の遺伝?

夫婦生活の回数が少ないから?

不妊治療を始めたばかりの若いカップル。

精子や夫婦生活のことなど、まだ不安がいっぱいの時期です。

木場公園クリニックの吉田先生にアドバイスをいただきました。

 
吉田 淳 先生 愛媛大学医学部卒業。産婦人科・泌尿器科医。生殖医療専 門医・臨床遺伝専門医。東京警察病院産婦人科、池下レディー スチャイルドクリニック、東邦大学第一泌尿器科非常勤講 師などを経て、1999年木場公園クリニックを開院。不妊症 治療の情報収集のため、アメリカや日本国内の不妊症専門 施設の見学・研修を数多く積んでいる。増設した2人目不 妊専用のフロアが好評ですが、これにとどまらず、どんど んクリニックを進化させていきたいとか。「不妊症にはまず 健康な体が必要」と考え、今後は栄養や運動など総合的に 患者さんをサポートしていきたいそうです。

ドクターアドバイス

●遺伝を気にするよりまずは精液検査を
●夫婦生活は多ければ多いほどいい
●回数を増やすには習慣づけも必要
ネコさん(23歳)からの相談 Q.結婚して2年経ちますが、なかなか子どもを授かりません。そこで、お 聞きしたいことが2つあります。1つ目は、主人の父の兄弟が精子がなかっ たそうですが、主人にも精子がない可能性はありますか。2つ目は夫婦 生活の回数が月に2、3回しかないのですが、それでは妊娠は難しいで すよね? すごく心配です。回答よろしくお願いします。

●これまでの治療データ

検査・ 治療歴

最近、病院へ通い始め、エコーと基礎体温をみた限りでは異常 がないということなので、タイミング法を1回実施。

不妊の原因と なる病名

特になし

現在の 治療方針

排卵誘発剤等の薬は使用せず、基礎体温をみてタイミング 法を実施。

精子 データ

検査していないので不明。

無精子症は遺伝する?

ネコさんは、ご主人のお父さんのご兄弟に精子が見つからなかったので、ご主人も無精子症の可能性があるのではないかと心配されているようですが。
吉田先生 男性不妊のいくつかの原因には遺伝的な要素が影響している可能性もありま すが、遺伝について簡単に説明するのは非常 に難しいことですね。
無精子症の場合、顕微授精ができるようになった1992年以前は 妊娠がほとんど成立することはなく、ご主人 の叔父さんの世代ではお子さんができなかっ たということです。
そうなると、遺伝に関す る検証もしにくい。顕微授精ができるように なった今も、そのお子さんがどうなのかはま だほとんどデータがなく、これから追跡調査 を重ねていくという段階です。
また、遺伝に関しては父親側だけではな く、母親側の因子が影響することもあるので、 探っていくのは単純なことではありません。
ご主人のお父さまは無精子症ではないは ずですね。
精子の数が少ない乏精子症など は、父親もしくは兄、弟にその傾向があれば、 同じように少ないということがあるかもし れませんが、これも確実ではなく、あくま で可能性ということになります。
ご主人の精子の状態はまだ不明なんです ね。
遺伝のことを心配されるより、とにか く精液検査を受けられてみてはいかがで しょうか。
精液検査は不妊治療の基本中の 基本です。
本来なら、女性の検査と同時に やるべきだと思いますね。
もしかしたら、 お若いご夫婦なので、先生ものんびり構え ていらっしゃるのかも。
そうではなく、ど んな世代の方も最初にきっちり基本の検査 を受けてから、治療を進めていっていただ きたいと思います。
結果を確認すれば、目 に見えない不安も解消するのでは。

SEXは多い方が良い

もう一つ、夫婦生活が少ないということも妊娠しない原因の一つではないかと思われているようです。セックスの回数は妊娠に影響するのでしょうか。
吉田先生 夫婦生活については、多ければ 多いほどいいといわれています。
排卵日だ けに夫婦生活をもつことが妊娠につながる わけではなく、排卵日ではない時に夫婦生 活をもつこともホルモンのバランスを良く します。
たとえば 20 代くらいの女性で、と ても生理が不順なんだけれど、結婚して夫婦生活を多くもつようになったら、それが 治ってしまったというケースもあります。
やはり、刺激は脳に入るということだと 思うんですよね。排卵の時のホルモンだけではなく、全体のホルモンバランスも良い 状態に整えます。
また、愛する人とセック スをする一体感が、精神的な安定にもつな がっていくのだと思います。
そのようなこ とが引いては、妊娠率を上げていくのでは ないでしょうか。

夫婦生活とホルモン

それは、臨床で患者さんをみていても感じられますか?
吉田先生 以前、ある病院にいた時に、奥 さまが 30 歳すぎくらい、ご主人が 40 代のご 夫婦を担当させていただきました。
その方 の基礎体温表の日にちの横に三重丸、四重 丸の印が書かれているんですよ。
「これは何?」と聞いたら、「先生、この日は4回です」 と。
毎日、そのペースで夫婦生活をもたれ ていたんですね。
ご夫婦仲も大変よろしい ということで、自然妊娠されました。
ですから、排卵日だけではなくて、排卵 日ではない時も仲良くすることが大事です。
生理が終わった後でも、排卵して2、3日 経った後でもいいでしょう。
精子は生きて いないので、もちろんその周期の妊娠には つながりませんが、夫婦生活をもつことが ホルモンのバランスを良くして、全体とし て妊娠につながるはずです。
確かに排卵日付近にタイミングをきちん ととることは必要ですが、そのタイミング 通りに「今日が排卵日だから」と2回、3 回だけに絞ってしまったら、ご主人に余計 なプレッシャーがかかってしまって排卵日 症候群になりかねないですよね。
若い世代も含め、男女とも全体的にセックスレスになってきているのでしょうか。
吉田先生 日本家族計画協会の最近の調査 で、性交渉のある 16 ~ 49 歳の男女に「この 1 カ月の性交渉の頻度」を尋ねたところ、「しなかった」が 49 ・3%だったとか。
配偶者の いる人に限っても 40 %を超えていました。
積 極的になれない理由は、「疲れている」「面倒 くさい」「出産後何となく」などの声が多かっ たようですね。
肉食ならず、弱食化の傾向に なりつつある。
これは夫婦二人だけの問題で はなく、社会や生活に対する不安からそうい うことを招いているのかもしれません。
 もちろん少ないからといって妊娠しないと はいえません。
でも、できれば多いほうがい い。
回数を増やすには、普段からある程度習 慣づけすることも必要なのでは。
たとえば、 金曜日はセックスデーと決めて、週のうち1 日は夫婦生活を持つ日を作る。
ただし、子づくりのためだけのセックス にはならないでほしいですね。
基本に二人 が楽しめるセックスがあって、なおかつ排 卵日付近だけその延長で「つくろうかな」 というモードに。
そうしないと、夫婦生活 をもつことが難しくなってくるのではない でしょうか。
日常的にコミュニケーション やスキンシップの機会を作って、ご夫婦仲 よくしていただきたいと思います。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。