HCGの注射が自分に合っていないのでは?

黄体機能不全と診断され HCG注射をしていますが 効果が出ず、心配です

大島 隆史 先生 自治医科大学卒業。1982年、新潟大学医学部産科婦人科学教室 入局。産婦人科医として3年間研修後、県内の地域病院の1人医長 として4年間勤務。 1992年、新潟大学医学部において医学博士 号を授与される。新潟県立がんセンター新潟病院、新潟県立中央病 院勤務を経て、1999年、大島クリニックを 開設、院長に就任。最近、 12年間乗っていた愛車を手放し、新車を購入。奥様と一緒に近くの温 泉に出かけるのが唯一の息抜き、という大島先生。診察では患者さん の声を聞く、カウンセリングの時間を最も大切にしているそうです。
だんごさん(36歳)からの相談 Q.4年前、32歳の時に1人目を自己タイミングで自然妊娠。出産後1年で生理が 再開し、周期はだいたい29日で高温期は12 ~ 14日程度ありました。その後、 2人目がほしくて半年間は自己タイミングでの自然妊娠を目指しましたが、でき ずに不妊治療へ。医師の診断は黄体機能不全ということで、最初の3ヵ月間はカ ウフマン療法、その後4ヵ月間はD5(生理初日から数えて5日目)からクロミッ ドⓇを1日2錠服用し、D22にHCG注射を打っています。でも、高温期が12日 間しかなく、かかりつけの医師の説明では、黄体ホルモンの補充のためヒスロンⓇ とHCG注射を打っているとのことですが、HCG注射の効果は出ているのか、ま たは私に合っていないのではないかと心配になってきました。

黄体機能不全=排卵の状態も良くない?

だんごさんは、自然妊娠で一度出産され ています。以後の不妊には、どのような 要因が考えらますか?
大島先生 詳しいデータがないので確実な ことは言えませんが、自然妊娠で出産し たのが 4 年前ということなので、原因は 卵子の減少など年齢変化、加齢にあるの ではないかと思います。
診断名には、黄体機能不全とあります が、単にそれだけで片づけるのではなく、 黄体機能不全があるということは排卵の 状況が悪いということなので、もう少し、 排卵誘発剤の中身を変えていかれたほう がいいのでは?と思います。

排卵誘発剤も活用も

大島先生ならどのような処置を考えられ ますか?
大島先生 私なら、現在一日2錠服用され ているというクロミッドⓇのほかに、排卵誘発剤の注射薬を加えます。
それでも効 果が薄ければ、クロミッドⓇはやめて、注 射だけに切り替えて排卵誘発剤の薬の量 を増やします。
そのほうが、妊娠率が高 くなると思いますね。
具体的には、 D 8(生理の初日から 8 日前)とD 10 に注射を打ってD 12 に診察 する。
これを2~3周期続けてみて、思っ たような効果が出なければ、注射だけに 切り替えていきます。

クロミッドとは

クロミッドⓇとはどのような薬なので しょうか?
大島先生 クロミッドⓇは結局、自然周期 で育てている卵胞刺激ホルモンを誘導す るだけのもの。
自然周期を少し強めるぐら いのもの、と考えていただくといいでしょ う。
つまり、自然周期で体にやさしいの は良いのですが、もともと自然周期では 妊娠できない方が治療に来るわけなので、 さほど妊娠率は良くはないんです。
これに対して、注射薬というのは、下垂体から出て卵胞を刺激するホルモンを 製剤にしたものです。
これを注射で打つ と、直接卵巣を刺激するので、刺激は強 いかと思います。

不妊治療を早く終えるために

だんごさんは、HCGが合っていないの ではないかと心配されていますが?
大島先生 HCGはこのままで大丈夫で す。
HCGほど強力に黄体を補充するも のはありませんから。
ただし、HCGや ヒスロンⓇというのは、あくまでも補充で しかないので、黄体機能不全はそれ以前 の問題。
先に排卵の状態をよくするため の治療が必要です。
高温期が 12 日しかないことも、心配され ています。
大島先生 一般的には 13 ~ 14 日あると正常 と言われているので、若干少ない気もし ますが、まあ大丈夫だと思います。
この方はまだ 36 歳。
お 1 人目を自然妊 娠されたという実績がありますので、 9 割がたは妊娠できると思います。
ただ治 療期間がトータルで 1 年というのがやや 長すぎるかと。そろそろ、排卵誘発剤を 注射するなど、より強い内容に切り替え られたほうがいいでしょう。
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