顕微授精6回しましたが妊娠しません

受精卵には問題ないのに うまく着床しないのは 子宮腺筋症が原因?

波多野 久昭 先生 日本医科大学卒業。ハンブルク大学産婦人科学教室留学後、日本医科 大学付属病院産婦人科学教室講師、飯田市立病院産科科長を経て、 2005年ノア・ウィメンズクリニックを開院。A型・やぎ座。「4月から消費税が 8%に。その前に、5匹いる愛犬のためのペットシートをいつもより多く買いま した(笑)。ただ、当クリニックの診療費、患者さんのご負担分は、5%のまま 据え置きですので、どうぞご安心を」と先生。
ゆずみゆずさん(41歳)からの相談 Q.治療歴12年。29歳で不妊治療を始め、受精不全と診断されて顕微授精へステッ プアップ。4回トライするが妊娠できず、いったん治療をお休みすることに。35歳 で不正出血のため総合病院へ。卵巣腫瘍子宮筋腫それぞれ12㎝を手術で摘出。 卵巣は温存。その後、定期観察している間に、新たに子宮腺筋症と診断されました。 治療のために、リュープリン®で生理を半年間止め、その後不妊治療を再開。治療後 すぐの顕微授精で一度だけ妊娠反応が出たものの、稽留流産しました。 今回の顕微授精は6回目になりますが、着床を助ける注射と薬を投与しても着床し ませんでした。毎回、「グレードの良い受精卵ができている」と言われるだけに、「着 床さえしてくれれば」と思いますが、着床障害の原因はやはり子宮腺筋症なのでしょ うか? 41歳という年齢にも問題がありますか?

腺筋症と着床障害

子宮腺筋症は、着床を妨げますか?
波多野先生 子宮腺筋症は、子宮筋腫の親戚のような病気で、子宮の筋肉にできる内膜症です。
子宮腺筋症なのか、子宮筋腫なのかは、厳密にいうと組織を採取して調べないと判断できないのですが、どちらであっても妊娠するケースは多くあり、必ずしも着床の妨げになるということはありません。
しかし、大きくなると子宮の内腔を圧迫し、 変形させることもあるので、その場合は着床障害の原因となることがあります。

腺筋症の治療法

治療法を教えてください。
波多野先生 薬物療法と手術がありますが、薬物療法では、リュープリン ® などを使って半年ほど生理を止めることになりますので、不妊治療をされている場合は、治療前にできるだけ多くの受精卵を凍結保存しておくことをおすすめします。
手術では、子宮腺筋症は子宮筋腫のように境 界がはっきりしていないので、やや難しいものとなるようです。
手術の場合も、術後半年間は経過観察が必要なので、妊娠はできませんが、その間の採卵は可能です。
どちらの治療法が良いかは、医師としても 判断しかねるところですが、いずれにせよ、まずはMRI検査を受け、子宮の内腔をどれくらい圧迫しているかを画像で確かめるといいでしょう。
子宮鏡検査で子宮の中を直接覗き、子宮の内腔の変形がないかも確認してもらいましょう。

手術の有無は考えどころ

着床しない原因は、やはり子宮腺筋症にあるのでしょうか。
波多野先生 この方は、以前に薬物療法で半年間生理を止めて治療し、その後の顕微授精で妊娠反応があったとのこと。
治療後には着床したということですから、着床しない原因の一つとして、やはり子宮腺筋症が影響している可能性はあると思います。
ただ、子宮腺筋症が着床障害の原因であると 判断する基準もなく、残念ながら治療さえすれば必ず妊娠できるというものでもありません。
思いきって手術などに踏み切るかどうかは、考えどころとなるでしょう。

よい受精卵を凍結保存

41 歳という年齢も気にされています。
波多野先生 確かに、 40 代になると妊娠率は下がりますが、それは卵子の質が落ちるからです。
この方の場合、グレードの良い受精卵が毎回できているとのことですので、まだ可能性はあると思います。
極端な話ですが、良い受精卵さえ凍結保存さ れていれば、何歳になっても戻すことができますので、半年から 1 年ほどかけて子宮腺筋症の治療に専念し、子宮内環境をしっかり整えてから、また不妊治療を再開するという方法も選択肢の一つだと思います
これまで、卵巣腫瘍、子宮筋腫の手術をされ たこともあり、同じ総合病院で不妊治療をなさっているとのこと。
子宮内環境を整えたうえで、不妊治療専門のクリニックに相談することも検討されてはいかがでしょう。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。