タイミング法、排卵チェックに
体のことがわかる!
手軽で役立つ 「排卵日検査薬」
排卵日を簡単に予測できる排卵日検査薬は、 タイミング指導などで妊娠を目指す女性にとって 心強い味方。
ぜひ試してみたいけれど、 自宅で行う検査の信頼性は? 日々のクリニックの診療で、排卵日検査薬を 活用されている竹林先生にお話を伺いました。
排卵日検査薬って?
多くのことを教えてくれる 排卵日検査薬は 診療に欠かせないツール
排卵日を予測しながら性交のタイミングを指導する、いわゆる「タイミング指導」において、診療に排卵日検査薬を組み合わせて活用することが多いという竹林先生。
どのような場合に使用されるのでしょうか?
竹林先生「排卵日検査薬は単純に排卵日を予測するだけのものではありません。
当院では、患者さんの排卵の傾向や特徴を掴むための尿検査に、カセット式の排卵日検査薬を活用しています。
たとえば、検査紙に常にうっすら陽性の反応が出続けるのは、卵巣機能に異常があるサインです。
多嚢胞性卵巣症候群の方や、閉経が近づいているような重症の卵巣機能不全の方などは、普段からLHやFSHの基礎値が高めです。
その状況も治療の過程で刻々と変化していきますので、『今はLHの値が下がっていい状態になっているな』とか、『相変わらず高値だから、卵子が育つまでに時間がかかっているのかな』など、継続して検査結果を見ていけば、血液検査をたびたび行わなくてもさまざまな情報が得られます。
私たちドクターにとっても、排卵日検査薬は非常に便利で信頼できるツールなのです。
患者さんにとっては、血液検査を何度も受けることなく、最小限の検査費用で治療が受けられるメリットがありますね」
LHサージのピークを 逃さないためには 1日2回の検査が必要
妊活や不妊治療を始めたばかりのジネコ読者のなかには、自宅で行う検査について、検査結果の精度の部分で心配という方もいらっしゃいます。
排卵日検査薬を自宅で使用する際に気をつけることは何でしょう?
竹林先生「排卵が近づいていることを知らせるLHサージには大きな個人差があり、同じ人でも周期ごとにホルモンの出方が異なります。
正確にLHサージのピークを掴むには、朝と夜、最低1日2回の検査が必要です。
さらに検査の精度を上げるため、1日3回の使用を指導している施設もあるほど。
1日1回の検査では排卵のタイミングをまたいでしまうことがあり、気付いた時にはLHサージが終わっていたということにもなりかねませんので、最低1日2回の検査を目安としましょう」
排卵日前後の性交のタイミングのとり方について、何かアドバイスはありますか?
竹林先生「私の基本的なタイミング指導の方針は、可能な限り、夫婦生活をたくさんもっていただくことです。
たとえば、 28 日周期と月経が正確な人なら、少なくとも月経 10 日目から1日おきに最低4回は性交渉を行うことを奨励しています。
10 日目・ 12 日目・ 14日目・ 16 日目という感じで計4回。ただ、さまざまな理由でできないという方もいらっしゃると思いますので、ある程度、こちらで診察と排卵日検査薬を組み合わせながら排卵日を予測し、タイミングのとり方を指導しています」
排卵日だけにとらわれず リラックスした状態で 夫婦生活をもつことが大切
先生のクリニックでは、妊活や不妊治療を始めたばかりの患者さんだけでなく、長年の高度治療で結果が出なかったような方に、タイミング指導を提案されることも多いと伺いました。
竹林先生「そうですね。
たとえば、卵管が通っていて、ヒューナー検査にも問題がなく、体外受精で受精卵もできるのに妊娠につながらないというような、原因不明の不妊症の方々です。
治療の原点に立ち返り、本当に自然妊娠は無理なのか、その患者さんを丁寧に見ていくということはありますね」
そのような場合にも、排卵日検査薬の活用は有効でしょうか?
竹林先生「有効だと思います。
医療施設では、エコーで卵胞の大きさや子宮内膜の厚さ、当院では特に頸管粘液の状態などを重視して排卵のタイミングを予測しますが、排卵前の通院が難しい方などは、排卵日検査薬を補助的なものと考えて取り入れていただくのがいいと思います。
ただし、排卵日だけにとらわれすぎないように。この日だけ夫婦生活をもてばいいという夫婦生活の『省略化』や、ご主人のプレッシャーにつながってしまっては意味がありません。
タイミング指導の最大の目的は、リラックスして妊娠を目指すことにあります。
LHやFSHというホルモンは、脳からの指令系統に支配されるため、リラックスした精神状態にあることが何より重要なポイント。
気持ちも穏やかに夫婦生活のタイミングをもつことができれば、おのずとホルモンバランスも整ってきます。
長年の通院や体外受精の後、自然妊娠を目指してタイミング指導に切り替えた途端に妊娠したというケースは、決してめずらしくありません。
不妊治療においては、さまざまな可能性、患者さんご自身の持っている力を最大限に引き出すことが重要だと考えています」