自然排卵できるようになりたい。

タイミング法 3周期目。 卵胞は大きくなっているのに 排卵しません

伊藤 哲 先生 順天堂大学医学部、同大学院修了。順天堂大 学医学部産婦人科学講師、国際親善総合病院 産婦人科医長を経て、1999年あいウイメンズクリ ニック開院。日本生殖医学会生殖医療専門医。 趣味のSLの撮影歴は学生の頃からで、今やプロ 並みの先生。重い機材を担いで山道や線路沿い を走るので、よい運動にもなるとか。右は先生の撮 影した写真。
トモミ☆さん(30歳)からの相談 Q. タイミング法を始めて3周期目。クロミッド®+HCG注射や点鼻薬などをしても、未だ一 度も排卵したことがありません。PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)と診断され、現在、イ ンスリン抵抗性が1.17と少し高いため、グリコラン®とカバサール®を服用しています。 しかし、薬を飲み始めて改善されたと思う今回も、排卵しませんでした。卵胞は33㎜と 38㎜まで大きくなっているのに、LHの値は排卵前にもかかわらず、上昇していないと のこと。卵胞は卵胞ホルモンが十分出ていない状態で大きくなっているらしく、先生から 「注射や点鼻薬でも効かないだろう。卵胞がサボっている状態で、遺残卵胞の可能性が ある」と言われました。 基礎体温はバラバラしており、正直、今まで排卵したことがあるのか謎です。夫が体外受精を嫌がっているため、何とか自然排卵できるようになりたいのですが……。

PCOSの疑い

排卵をしないということですが、この方はどのような病態なのでしょうか。
伊藤先生 月経周期が 14 ~ 82 日。
詳しいホルモン値を見てみないとわかりませんが、クロミッド ® 、HCGの注射を打っても排卵しないということは、程度の重いPCOSといえるのではないでしょうか。
インスリン抵抗性については、通常は2以 上になると高めと考えられています。
トモミ☆さんは1・ 17 ということですから、それほど高くはないようですね。
これは薬でコントロールされているようですから、大きな問題はないと思います。
排卵する頃の卵胞ホルモンの数値が 54 ・ 47とのこと。
この値をみると、やはり卵胞の成熟度が足りないようですね。
「注射をして卵胞は大きくなっているけれど、卵胞ホルモンの値が上がってこない」というのは、 40 代の年齢の高い方ではよくみられるのですが、トモミ☆さんのように若い方では比較的少ないケースだと思います。

自然排卵を待たない!

自然排卵するようになるのが目標とのこと。
伊藤先生 トモミ☆さんの現在の状態だと、それは少し難しいかもしれません。
自力での排卵を待つのではなく、薬で排卵が起こるようにして、タイミング法で妊娠されることは考えていいと思いますが。
とにかく、何とか排卵させる方法を考えることが先決だと思いますね。

誘発法を変えてみよう!

治療法を変えたほうがいいのでしょうか。
伊藤先生 いくつか方法があると思います。
1つはHCG注射の量を増やす。1回目の注射で排卵しなければ、2~3回打つようにしてみてはどうでしょうか。
当院でも、1回目で反応しない場合、2日後、排卵確認に来られた時に再び注射を打ち、それで排卵された患者さんもいらっしゃいます。
あとは排卵誘発の方法を変えてみる。
トモ ミ☆さんは3回ともクロミッド ® を使ったにもかかわらず反応されていないので、今後、同じ薬を使い続けても難しいのではないでしょうか。
次回は注射単独で反応をみられてもいいと思います。
LHの値が高いということであれば、HMGではなく、FSH製剤の注射を。
注射だけだと3日目から毎日打たないといけないので少し大変ですが、自己注射にすればその負担も軽減できると思います。

ご夫婦でドクターに相談

一般不妊治療でも、排卵、妊娠される可能性はまだありますか?
伊藤先生 年齢が若いので、今申し上げたような方法を試していって、それでも排卵しないようであれば、やはり体外受精という選択も考えられたほうがいいですね。
トモミ☆さんのご主人は体外受精に消極的 とのこと。
しかし、排卵しなければ妊娠に至ることはないので、その状況や治療法についてご主人にもよく知ってもらうために、ご夫婦で先生のお話を聞いて、最善の形で治療を進めていっていただきたいと思います。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。