許して感謝することも必要

田村秀子先生の 心の 玉手箱Vol.17

なかなか治療に対して 前向きになってくれない ご主人の態度について、 女性はつい不満を ぶつけてしまいがち……。 先生、どうすればいいですか?

いちごさん(主婦・38歳)  Q.私38歳、夫44歳、治療歴3年です。 精子の運動率もだんだん悪くなり、 今回、顕微授精になりました。 最近、やっと週末ウォーキングに 行ってくれるようになりましたが、 まったく不妊治療の内容に興味がなく 説明しても憮然と面倒くさい態度。 顕微授精になっても「たまたまでしょ~、 そのうち大丈夫だよ~」と、頭にきます。 なおかつ、私に「ネガティブな考えはよくない、 先生に任せておけばいい」だの⋯⋯。 ある程度の知識は必要だし、 治療は誰もが自分なりに調べて 進めていくものだと説明してもダメでした。

いちごさんの投稿に 寄せられたコメントです!

もえ(主婦・35 歳) 温度差があってつらいお気持ちはわかりますが、危機感を 持てば精子の運動率が改善するわけではありません。むし ろ逆効果の気がするので、あまりご主人を追い詰めないほ うがいいと思います。私は体外受精5回目で授かりました が、夫は今でも人工授精と体外受精の違いすらわかってい ません。採精に協力してもらえただけでもありがたいと思って います。
よん(会社員・38 歳) 二人の温度差が大きいと、それだけでストレスが溜まりますよ ね。とにかく話し合って、意見がお互いに寄り添えるようにな るといいですね。旦那さんには、やはり治療で痛い思いをする ことが多いのは女性なのだということを理解してもらって、も う少しいちごさんの気持ちに寄り添ってもらいたいです。これ は夫として当たり前の行動だと思います。週末のウォーキング だけでも素晴らしいことだと思いますが、それに気付いていな いくらいちょっと治療に夢中になりすぎていますね。旦那さん を責めること=数値が下がる……くらいのイメージで優しくし てあげてください。男のプライドは女性より難しいかも。

勉強もいいけど 治療方針を立てるのは ドクターです

少し落ち着いて考えてみましょう。
あなたはご主人に対して何をしてほしいと思っているのでしょうか。
不妊治療についてもっと勉強してほしい?
それとも自分の治療のしんどさを理解してほしい?
もしご主人に対して、女性同士の会話のように「そうそう、そうよね〜」というような感覚の会話を期待しているとしたら、それは大きな間違いです。
「そんな細かいこと言われたってわからないよ。僕にはどうすることもできないんだから」と思われたとしても、仕方ないこと。
はむしろ、それで全然かまわないと思います。
そもそも、不妊治療は勉強するものではありません。
治療方針を考えるのはドクターの仕事であって、提示された選択肢をどれにするのか選ぶのが患者さんのするべきこと。
強して知識を深めるのはいいことです。
体外受精をしたら妊娠率がどれくらいアップするとか、それは知識として必要かもしれないけれど、忙しいご主人にそれを要求するのは酷かもしれませんね。

女性は近視眼的 男性は大局を見て 動くタイプが多い

男性はなんだかんだと言っても、 物事を大局的にとらえる力が備わっているので、少々のことには動じずにデンと構えていられる人が多い。
不妊治療についても、細かい治療の中身は知らなくても、年齢的なことも考えながら、最終的に治療にあとどれくらいお金を使えるのか、もし子どもができなかったら夫婦二人になって、何を考えないといけないのか、老後はどうするのか……、家族を養っているとしたら、やはり少なからず、そういったことを考えていると思います。
一方、女性の思考はとても近視眼的。
今、目の前で起こっていることが大事で問題なのです。
もし、あなたがそんなご主人に対して腹が立つというのなら、何に対して腹が立っているのか、一歩引いて、冷静に考えてみましょう。
そして、一番こうしてもらいたいということを言ってみてください。
「あのね、フーンでもヘェーでもいいから、たまには黙って無関心を装うんじゃなくて、もう少し抑揚のある返事をしてほしいの。
でないと私、イライラしていい卵子が育たないのよ」でも、いいじゃないですか。
「その代わり、役割分担しましょう。
なたはお金に関することと精子の担当。
女性はいろいろ大変なんだから」と。
これくらいのゆとりというか、ユーモアが欲しいですね。
笑顔や笑いというのは人を幸せにするだけではなく、自分のホルモンも高めてくれます。
カリカリしていても、結局は自分が損をするだけです。

ご主人を褒めて 動かすテクニックを 学びましょう

男性への賢い接し方は、自我が目覚めてきた子どもへの接し方によく似ています。
「どうしてできないの!」ではなくて「よくできたね。今度はこれをやってみようか?」と、少しずつ褒めて伸ばしていくのが、ご主人を思い通りに動かすコツ。
精子の運動率については、炎症でも起こしていない限り、3年の間にそれほど急激に数値が落ちることはないはず。
調子が悪かったからというのは、あながち言い訳ではないと思います。
男性はデリケートですから、褒めて、その気にさせて、自信を持たせてあげてください。
男性も精子も褒めると動き出しますよ。  
一緒にウォーキングしてくれるな んて、とても優しいご主人じゃないですか。
治療中の女性なら、いちごさんのことを羨ましいと思う人がいくらでもいるんじゃないかな。
相手を見るゆとり、許すゆとりがなくなってきているのではないでしょうか。
ご主人に感謝して、ちょっと許してあげてみたら、状況はきっとよくなると思います。

秀子の格言

時には相手を許して感謝することも必要です。 男性も精子も褒めて 伸ばしましょう

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。