腹腔鏡を使って採卵してもらうことは可能なのでしょうか?

柏崎 祐士 先生 京都府立医科大学医学部卒業。2000 年まで日本大学 板橋病院で主に不妊治療に従事し、その間、米国エール 大学医学部産婦人科で研修。その後、「かしわざき産婦 人科」副院長に。日本生殖医学会生殖医療専門医、日 本産科婦人科学会認定医。O 型・おとめ座。プライベー トでは、松田聖子さんからAKB48まで、アイドル好きな 一面もあるお茶目な先生。一方、2 人の娘さんは向井理 さんの大ファンだそう。ちょっぴりやきもち(!?)。
ちびこさん(43歳)Q.体外受精にステップアップし、採卵に向けてHMG注射を連日受け ましたが、右の卵巣は反応がなく、左の卵巣に4個卵胞ができました。 採卵3日ほど前になって医師から「卵巣が日によって全然違う位置 にある。この位置では血管を傷つけるおそれがあるため、採卵でき ないかもしれない」と言われ、結局、採卵は中止。右の卵巣に卵胞 ができれば採卵は確実にできるが、反応がないので機能していない かもしれないとのこと。通常の採卵ではもう無理? 腹腔鏡で採卵 する方法があるとのことですが、通っているところでは行っていませ ん。大学病院などに行けば行ってもらえるでしょうか?

卵巣は比較的動きやすい

「卵巣が日によって違う位置にある」というのは、どういうことなのでしょうか。
柏崎先生 人体図などを見ると、卵巣は子宮の左右に描かれていますが、正確には、卵巣は子宮と直腸の隙間の部分に落ち込むように位置しています。
卵巣の一方の端は子宮と、もう一方の端は骨盤の壁とくっついてはいますが、全体がしっかり固定されているわけではなく、比較的動きやすい臓器なんですね。
ちびこさんは片方の卵巣の反応が鈍く、卵胞の数が少ないということなので、卵巣のサイズが小さめなのではないかと考えられます。
小さいから通常よりも動きやすく、位置が変わりやすくなっているのかもしれませんが、このようなケースは非常に稀だと思います。

採卵の仕方

通常の採卵方法では難しいということですが。
柏崎先生 通常は、腟を通して卵巣に針を刺して採卵します。
卵巣の横には大きな血管が通っているのですが、卵巣の位置が安定しないとこの血管を傷つける可能性があると先生
は判断されたのではないでしょうか。
採卵時は、エコーで見ながら針を刺しますが、お腹の中には子宮と卵巣だけでなく、ほかの臓器や血管もあります。
エコーではこれらを見ることはできませんから、正常な卵巣の状態の方の場合でも血管と卵胞を間違って刺してしまうというような合併症がないとは言いきれません。
採卵は比較的簡単な処置と思われていますが、小規模ながら手術は手術。
リスクがゼロではないことを認識していただきたいと思います。

腹腔鏡で採卵??

腹腔鏡でお腹の中を見ながら採卵をすることはできますか。
柏崎先生 エコーによる採卵がまだ普及していなかった1980年代頃は、腹腔鏡を使って採卵をしていました。
腹腔鏡による採卵は全身麻酔をかけ、お腹に穴を開けて行う手術なので、現在のようにいつでもできるものではなく、受けられる施設も大学病院などに限られていました。
現在もそれが不可能というわけではありませんが、不妊治療と腹腔鏡を行っている施設となれば、やはり数は限られてくると思います。
このような原因で採卵できないのは非常に稀なことなので、アドバイスとしては、本当に採卵できないのか、他の施設でセカンドオピニオンを受けてみることをおすすめします。
それでも同じ診断が出るようなら、腹腔鏡による採卵を行える施設を探して相談してみてはいかがでしょうか。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。