人工授精後に出血。黄体機能不全の治療中ですが今も出血が続くのはなぜ?

宇津宮 隆史 先生 熊本大学医学部卒業。1988 年九州大学生体防御医学研究所講 師、1989 年大分県立病院がんセンター第二婦人科部長を経て、 1992年セント・ルカ産婦人科開院。国内でいち早く不妊治療に 取り組んだパイオニアの一人。開院以来、妊娠数は6,200 件を 超える。O型・おひつじ座。開院 20周年を迎えた今年、初めて の長期休暇をとり、信州旅行を計画しているという先生。「気付 いたら、今まで一度も夏休みをとっていなかったんです。信州では 山に登って、リフレッシュしてこようと思っています」。
りえっぺさん(31歳)Q.2人目不妊で治療歴5年です。生理5日目からクロミフェンを服用し、人工授精をし ました。卵胞の大きさは21㎜で頸管粘液も十分でした。施術中とその後もしばらく 痛みがあり、出血もしていました。この日からクロミフェンを1日2回、2錠ずつ服 用し、人工授精から3日目にHCG注射のため来院。先生から「出血が続くのは黄体機能が上がりきらないからです」と言われ、腟内洗浄をされましたが、人工授精か ら10日経った今もなお出血し続けています。出血量は生理 2日目と同じくらいの量 が出たり、ティッシュに少しつく程度だったりとまちまちで、常に鮮血です。これはも う生理になっているのでしょうか。主治医の先生は曖昧な答えしかくれず、エコー検 査もありません。基礎体温は人工授精後ずっと低体温のままです。

理解に苦しむ…

人工授精後に出血し、黄体機能不全と診断されたそうですが。
宇津宮先生 主治医の先生は不妊治療の専門医なのでしょうか。
まず、細心の注意を払って行うべき人工授精時に、痛みがあって出血しています。
クロミフェンを1日2回、2錠ずつというのも理解できません。
200 ㎎ もの量を高温期に服用しているということですよね。
クロミフェンではなく、実は黄体ホルモン剤の間違いではないでしょうか。
そして、人工授精3日後にHCG製剤注入。
通常は人工授精の前に用いる薬ですから、なぜこのタイミングなのか、理解できません。

未排卵性黄体化

出血の原因は何でしょうか?
宇津宮先生 可能性として考えられるのは、未排卵性黄体化。
これは、高温期にならない状態が続き、排卵せずに黄体化してしまうというもので、排卵誘発剤を使用したり、子宮内膜症がある場合などに起こりやすい症状です。
排卵後、黄体ホルモンが出るまで1〜2日ブランクがある場合に、内膜の一部が剥がれ落ちることがありますが(中間期出血という)、黄体ホルモンがきちんと分泌されれば内膜は修復され、出血は止まります。
りえっぺさんは低体温が続いているので、黄体ホルモンは出ていない状態といえるでしょう。

専門家に相談するべき

それが、黄体機能不全ですか?
宇津宮先生 排卵から1週間後の血中のプロゲステロンが 10ng / mL 以下なら黄体機能不全だといえますが、なぜそうなっているのかを理解する必要があります。
排卵するまでに時間がかかりすぎたり、卵胞が小さいままだと十分な黄体ホルモンが出ず、高温期にもなりづらいです。
内膜は、2週間程度で新たな刺激がなければ剥がれ始めます。
クロミフェンやHMG製剤を用いてエストロゲン(卵胞ホルモン)値を上昇させ、なるべく2週間目に排卵するようにコントロールできれば、黄体機能不全は起こりません。
この治療は、 10 日以上も出血が続いているのにエコー検査もなく、クロミフェンやHCG製剤の使用法や、腟内洗浄で出血が止まると認識されていること、精液検査では問題ないのに人工授精を行っていることなど、疑問だらけです。
出血の原因を「黄体機能が上がりきらないから」と説明していますが、排卵までに十分に黄体機能を上げておかなければ、あとで何をしても意味はありません。
厳しい言い方になりますが、この医師は不妊治療について何も理解していないような気がします。
 人工授精以上となると、専門の病院でないと結果が期待できないばかりか、間違った治療を続けることで子宮や卵巣などの機能が低下する可能性もあります。
他の医療もそうですが、生殖医療は、それほど慎重に行わなければならないものです。
りえっぺさんには、早めに専門医のいる病院への転院を考えることをおすすめします。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。