10代の頃のダイエットで無月経に……。妊娠できるのか不安です

田中 雄大 先生  慶應義塾大学医学部卒業。日本産科婦人科学会専門医、日本生 殖医学会生殖医療専門医。大和市立病院産婦人科勤務、内視鏡 手術の専門病院を目指した矢崎病院婦人科での勤務などを経て、 2009 年、矢崎病院に不妊治療専門の湘南 IVFクリニックを開設。 聖マリアンナ医科大学非常勤講師。B 型・かに座。5月1日に新 クリニック「メディカルパーク湘南」を開院。不妊治療から分娩ま でをサポートする施設となる。さらに手術室を2 つに増やし、内視 鏡手術の待機期間を大幅に短縮。患者さんが快適な時間を過ごせ るようにと、最上階には眺めのいいカフェテリアも。
はっぱさん(29歳)Q.18歳の時にダイエットで無月経となり、それ以来、ずっと生理がきていません。昨年結 婚し、現在はカウフマン療法をしながら人工授精で治療中です。クロミッドⓇなどでは反 応しなかったので、 フェリングⓇ150単位を8日間打ったところ、10個以上の卵胞が育っ てしまいました。よって、フェリングⓇ75単位を12日間、150単位を3日間にしたとこ ろ、卵胞が20㎜になりHCGの注射を打つのですが、わずか3日で生理がきてしまう、 という状態が3回も続いています。やはり、18歳の時の急激な体重減少で卵巣の機能 が低下してしまったのでしょうか。もう正常な排卵は無理? こんな状態で妊娠できるの かとても不安です。早く妊娠したいので、体外受精に踏み切ろうかと思っています。

ダイエットと無月経

無月経になってしまったのは、やはり 10 代の頃のダイエットが原因なのでしょうか。
田中先生 状態としては、体重減少性の無月経といいますが、以前に行った過激なダイエットが大きな要因になっていることは間違いないと思います。
1回のダイエットがきっかけで無月経になり、その後ダイエットをやめても月経の状態がなかなか正常に戻らないというケースは多くあります。
なぜ、無月経になってしまうのですか?
田中先生 ダイエットをするということは、脳にとっては飢餓状態。
そうすると、体内でのエネルギー消費をなるべく少なくしようとするんですね。
まずは無駄な出血をなくす意味で排卵が止まり、月経がなくなります。
妊娠をしたら、さらにエネルギーのロスになるわけですから、そうならないように体が自分で防御するわけです。
脳のほうにそのようなスイッチが一度入ってしまうと、なかなか元に戻りません。
体重減少による無月経の原因は100%判明してはいませんが、このような反応があることは十分考えられます。

心理的ケアや生活改善も

はっぱさんはダイエットの後も、過食と嘔吐をしばらくくり返してしまったようです。
田中先生 現在も身長160㎝、体重が 38 ㎏と、かなり痩せぎみの状態です。
今はダイエットをしていないといっても、以前の食事量のイメージなどが変えられず、無意識に節制してしまっている可能性もあるのでは。
薬による治療も必要ですが、はっぱさんの場合は、まずは心理的なケアや、食事などの生活改善の指導が必要かもしれません。

体外受精で分かることもある

不妊治療についてはいかがでしょうか。
田中先生 フェリングⓇでしっかり反応して 10 個以上卵胞が育っているということですから、卵巣には問題はないと思います。
はっぱさんの排卵障害の原因は、下垂体や視床下部など脳の命令系統の問題だと思いますから、適切な治療を行えば、妊娠の可能性は十分あると思います。
適切な治療とは、現在行っているHMG製剤やFSH製剤を使うことです。
それからもう1つは、排卵の段階で卵子を回収すること。
つまり体外受精ですね。
治療を始めて1年ですから、そろそろステップアップを考えられてもいいのではないでしょうか。
体外受精に進めば、本当に卵子が採れるのかどうかわかるので、はっぱさんが現在抱いている疑問や不安も解消されるのではないかと思います。
※フェリング ®:ヒト下垂体性性腺刺激ホルモン。成熟卵胞を形成し、同時にエストロゲンの分泌を促進する。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。