タイミング療法で排卵後にデュファストンⓇを飲んだら体温が下がってしまいました【医師監修】

【医師監修】福田 勝 先生  順天堂大学医学部・同大学院修 了。米国カリフォルニア大学産 婦人科学教室留学後、順天堂大 学医学部産婦人科学教室講師を 経て、1993 年福田ウイメンズク リニック開院。今年の抱負は「特 にない」という福田先生。それ は言葉を変えれば「継続」とい うこと。今年も自分が患者さん にできるだけのことをコツコツ続 けていきたいそうです。
しんさん(33歳)Q.現在、2 人目不妊でタイミング療法にて治療中です。1人目もタイミ ング法、HCG 製剤、薬で妊娠しました。今回、排卵後にデュファス トンⓇを処方され、服用して3日目ですが、基礎体温がいつもより低 い 36.60 度(高温期と低温期の境目くらい)になってしまいました。 普段、排卵後は高温期 36.80度くらいです。これはどういうことを意 味しているのでしょうか。この薬を飲んでから低体温になってしまい、 とても心配しています。このまま飲み続けてもいいのでしょうか。もし かしたら薬が合わないということ?

ディファストンについて

デュファストンⓇというのはどのような薬なのですか?
福田先生 最も自然に近い形の黄体ホルモン製剤です。
しんさんは現在、タイミング療法でHCG製剤も使われているということですが、HCG製剤で排卵操作をして、排卵後にデュファストンⓇで黄体ホルモンの補充をするという治療はごく一般的な方法だと思います。
ところが、飲み始めてから体温がいつもより低くなってしまったそうです。
福田先生 前述のように、デュファストンⓇは自然の黄体ホルモンに近い薬で、黄体ホルモン剤のなかでは唯一体温上昇作用がないものです。
薬による直接的な体温変化はなく、補充によって黄体機能がよくなることを期待します。
ですから、デュファストンⓇを飲んだから体温が上がった、もしくはしんさんのように体温が低くなってしまった、という考え方はちょっと違うと思いますね。
発疹やむくみなど副作用的なものが現れれば薬が合わないということになりますが、問題がなければこのまま使い続けてもよろしいのではないかと思います。

基礎体温への考え方

体温が低いのを心配されているようですが……。
福田先生 皆さん、基礎体温を測る時、体温そのものを気にされることが多いようですが、最も重要なのは高温と低温の差です。
体温は一年中一定しているわけではなく、外的因子などにより影響を受けることもあります。
たとえば冬は外気が冷たいので、体温もいつもより低くなることも。
高温と低温の差が黄体機能不全かどうかの目安である 0.3 度以上で、きちんと二相の状態になっているようなら心配はないと思います。

全体的に考察しよう!

タイミング療法をしている時は特に、基礎体温の結果に一喜一憂される方が多いようですね。
福田先生 基礎体温は卵巣から分泌されるプロゲステロンというホルモンを間接的に評価しているだけであって、黄体機能の一面を見ているにすぎません。
患者さんにとっては一番わかりやすい目安だと思いますが、これだけですべてを判断するのではなく、内分泌機能と子宮内膜機能もあわせて見ていかなければいけないと思います。
もし体温の低下がご心配なら、血液検査でホルモンの状態、超音波で子宮内膜の状態をチェックして、黄体機能を精査されたらいかがでしょうか。
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