顕微授精の結果がほとんど異常受精です治療法はありますか?

渡辺 浩彦 先生 滋賀医科大学卒業後、京都大学医学部附属病院産婦人科、 大津赤十字病院、済生会茨木病院などを経て、1971年か ら不妊治療を行っている父の病院を継承。不妊治療から分娩 まで手掛け、365日24時間の診療体制をとる。O型・おと め座。夏休みに親戚と屋久島へ旅行に行った渡辺先生。世 界遺産に登録されている美しい大自然に癒されたそう。「樹 齢千年の屋久杉を間近で見て感動、きれいな川で泳いでリフ レッシュしました!」。
ともさん(38歳)からの投稿 Q.主人が中度の乏精子症と診断され、自然妊娠は難しいとのことで、 今年5月に顕微授精をしました。17個の卵子が採卵できたのですが、 17個中3個が未熟卵、残りの14個中12個が異常受精で卵子の染 色体の1つが多核受精となりました。顕微授精の受精率は7~8割 と聞いていたのに、ほとんどが異常受精。多核受精は卵子の老化に 原因があると聞きましたが、何か改善できる方法はありますか?

多核受精って?

そもそも多核受精(多前核受精)とは、どのような状態ですか?
渡辺先生 受精が起こる際、通常は1個の卵子に対して1個の精子が入るのですが、複数個入って3〜4個の核ができてしまうことがあります。
これを多精子受精といいます。
しかし、顕微授精では1個の卵子に1個の精子しか入ることができないにもかかわらず、核が複数個見つかったということは、第二極体の放出不全などが原因で起こる異常受精、多核受精です。
そう多いケースではありませんが、当院の患者さんにも少なからずいらっしゃいます。
患者さんが100人いたら、1人いるかいないかという割合ですね。

誘発法の選択で卵質改善

やはり卵子の老化が原因ですか?このまま顕微授精を続けるかどうか、費用もかさみ、悩んでおられます。
渡辺先生 卵子の老化も一因かもしれませんが、ともさんの場合は、それはあまり関係ない気がします。
採卵数も多いですし。
一概に年齢の高い人に起こりやすいというものでもありません。
質のよい卵子を得られる排卵誘発の方法を試みれば、まだまだ可能性はあると思います。
ご主人の乏精子症についてはいかがでしょう。
渡辺先生 こちらも担当の先生がおっしゃるように、自然妊娠は難しいかもしれませんが、顕微授精を行うのであれば問題ありません。

可能性の追求

先生ならどのような治療法がよいと考えられますか。
渡辺先生 多核受精は、年齢よりも抗核抗体などの自己抗体が原因となって起こるケースが多いです。
なぜそうなるのかまでは、まだはっきりとわかっていませんが、自己抗体を調べて陽性であれば、体の免疫反応を調整する作用のある柴苓湯や、ステロイド剤の併用で治療を行うと効果的な場合があります。
ともさんの場合も、まず自己免疫抗体を調べてみて、高値であれば柴苓湯とステロイド剤を併用するのがいいのではないでしょうか。服用しなくても妊娠に至る可能性はありますが、妊娠率を上げるためにも試みる価値はあると思います。
顕微授精の結果が「ほとんどが異常受精に終わってしまった」とのこと。
しかし、 14 個のうち2個は正常に受精しているのですよね。
それならば、期待を持って治療を続けていいと思います。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。