内膜が薄くP4も低め。良好胚ができても妊娠につながりません

古井 憲司 先生  1986 年日本医科大学卒業。1986 年医師国家試験 合格。1年間の研修医を経て、1987年名古屋大学産 婦人科学教室入局。名古屋大学産婦人科では文部教 官を務める。さらにその後、大垣市民病院産婦人科医 長を経て、1998 年クリニックママを開院。〝安全なお 産と最先端の不妊治療〞をモットーに、一人ひとりに 合ったオーダーメード医療と十分なカウンセリングを提 供し、女性の心と体のケアをトータルにサポートする。
ばななさん(38歳)からの投稿 Q.検査で黄体ホルモン不全といわれ、HCGを打つと卵巣が腫れてしまいます。4 回の人工授精後、今年に入って体外受精を2回行いました。1回目はクロミッド®1 日1錠×5日で採卵数は1個、3日目8分割G2を移植しましたが陰性。2回目 はクロミッド®1日2錠×5日と、5、7、9日目にフォリスチム注150 IU を打ち、 採卵数4個、3個受精し5日目胚盤胞3AAを戻すも陰性。2回とも内膜8㎜く らいでP4 も低め。どちらも採卵周期に移植しています。本来、2回目はアンタゴ ニスト法にしたく、マーベロン®を1周期服用しましたが、FSH値が上がってしま い低刺激となりました。そこで次の方法はどうしたらいいか迷っています。カウフ マン療法は? 移植は自然周期かホルモン周期にしたほうがいいでしょうか?

良い受精卵が出来るなら…

ばななさんは、人工授精4回、体外受精も2回陰性で、今後の治療をどのように選択していけばいいか迷っているようです。
古井先生 まず1回目の体外受精で採卵が1個しかないということですが、これに関してはやむを得ないと 思います。
クロミッドⓇ単独で排卵誘発を行った場合は、通常1〜3個しか卵は採れません。
それに3日目の8分割は、受精卵としては悪くありません。
2回目の採卵の時には、5日目胚盤胞3AAを戻すとありますが、胚盤胞3AAというのは非常によい受精卵です。
年齢にもよりますが、おそらく 50 %以上、 60 〜 80 %は妊娠する可能性がある受精卵なんですね。
ばななさんはそのようないい受精卵ができるのですから、妊娠できる確率はまだまだ高いと思います。

内膜が薄いなら、凍結

クロミッドⓇが子宮内膜に影響を及ぼすこともあると聞きますが。
古井先生 確かに、クロミッドⓇを長期服用すると、抗エストロゲン作用で子宮内膜が薄くなることがあるとは一般的にいわれています。
しか し、クロミッドⓇ単独であっても、 クロミッドⓇとHMG製剤を併用する低刺激周期法の場合でも、内膜が10 ㎜以上に厚くなる方もいます。
そういう場合は、フレッシュで戻しても着床に問題ないわけです。
しかし、 クロミッドⓇの副作用に限らず、ばななさんのように2回とも内膜が8㎜くらいという状態であったなら、胚を一旦、凍結すべきだったかなと思います。
特にいい胚であれば凍結したほうが、着床率も上がると思います。
移植はホルモン補充周期できちんとホルモン剤を投与して、内膜が厚くなるように調整するという方法をとれば、この3AAの胚であれば7割ぐらいの妊娠率は望めると思います。

排卵誘発法は流動的に

今後の排卵誘発はどのようにするのがいいでしょうか?
古井先生 2つの考え方があると思 います。
クロミッドⓇでいい胚ができているのであれば、再度、クロミッ ドⓇでやってみる。
そして良好胚盤胞ができれば、それを凍結して融解胚移植でトライしてみる。
もう1つは、ばななさんの言うように、カウフマンを施行してアンタゴニスト法で刺激して同様に凍結する方法です。
私の基本的な考え方としては、いい胚ができなければ、排卵誘発の方法を変えます。
施設によって考え方は様々だと思いますが、同じ排卵誘発方法を毎回続けるのではなく、その人に合った方法を模索していき、選択するべきだと思いますね。
※カウフマン療法:卵胞ホルモン、黄体ホルモンの卵巣ホルモン剤を周期的に投与して、月経周期を整える。 
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。