多嚢胞性卵巣症候群は卵子の質が悪いのでしょうか。改善方法はありますか?

松山 毅彦 先生 東海大学医学部卒業。小田原市立病院産婦人科医長、東海大学付属大磯病 院産婦人科勤務、永遠幸レディースクリニック副院長を経て、1996年厚仁病 院産婦人科を開設。日本生殖医学会生殖医療専門医。クリニックでは最新医 療を積極的に取り入れる一方、産科併設のメリットを生かし、より安心して出産 を迎えられるよう、不妊治療から出産、育児までをトータルにサポートする。お ひつじ座のA型。地元では〝厚仁さん〞 の愛称で親しまれ、県外から通う患者 さんも多い人気クリニック。来院数も多く診療が終わるのはいつも夜になるが、 一人ひとり丁寧な対応を心掛けているそう。
ひよさん(34歳)からの投稿 Q.2人目不妊で治療歴3年になります。不妊検査では原因が特定できず異常なしというこ とでしたが、稀発月経や卵巣の状態から、軽度の多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)が原因 と診断されました。タイミング療法と人工授精を経て、体外受精では13個すべて受精せ ず、採卵のみ。今回の顕微授精で9個が受精しましたが、ホルモン値が高く卵巣過剰刺 激症候群が危惧されたため、次周期に凍結胚盤胞で移植する予定でした。でも、胚盤胞 までたどり着いたのは1個でした。担当医師からは卵子の質がよくないとの説明があった のですが、1人目(現在5歳)の妊娠時から年齢以外の体質などは変わっていません。

PCOSでも妊娠するときがある

ひよさんは 28 歳の時に1人目を自然妊娠されています。もともとは妊娠できる体質だったのに、なぜ今2人目不妊なのでしょうか?
松山先生 年齢的な原因も考えられますが、一般的に 30 歳前後で大きく体質が変わることはないと思います。
卵巣の質という点においても、基本的な機能は落ちていないのではないでしょうか。
他のことが原因となっていることも多いようです。
PCOSの診断については?
松山先生 PCOSには、月経不順で排卵期が特定しにくいという特徴がみられます。
PCOSの病態ははっきりしないことも多く、「体質」という言葉でまとめてしまうのは本意ではありませんが、ひよさんも……?とも思います。
しかし、PCOSでも自然排卵しますので、どこかのタイミングでポンッと妊娠できる可能性は十分にあるんですよ。
ひよさんももともとPCOSを持っていて、1人目のお子さんの時にそれを経験されたのかもしれない。
いろいろなケースがあります。

受精率について

体外受精では 13 個すべて受精せず、顕微授精は 12 個のうち9個の受精でした。受精しにくい理由は?
松山先生 投稿には詳しく書かれていないのですが、一つは、男性側の要素がどうなのかが気になります。
精子検査では正常の範囲内と出ていますが、詳細は検査してみないとわかりません。
また、採卵数が多くても、未熟卵は受精しないことも多いので、採卵した卵子の中の成熟卵の割合によっては、みかけの受精率が下がることもあります。

数より質の採卵

PCOSに関する先生の見解は?現在の治療法を継続すべき?
松山先生 PCOSは排卵誘発が難しく、HMG注射をすると卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が起こりやすい。
「もう1日待てばいい卵子が採れる」と思っても、患者さんの体を考えると……リスクとのバランスですね。
ひよさんの場合、思い切って排卵誘発法を変えてみてはどうでしょうか?
たとえば、クロミフェンによる低刺激採卵です。
あまり強く刺激せずに、卵子を2〜3個。体への負担も和らぎます。
「たくさん育てること」だけがいいのではなく、「元気のいい卵子を数個」という発想の転換があってもよいのかもしれません。
当院のファーストチョイスの排卵誘発法は、クロミフェンを使用する低刺激の方法を選択しています。
>全記事がドクター編集!

全記事がドクター編集!

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。