AMH値が5.1の場合、体外受精から治療を始めるべきですか?

大島 隆史 先生  自治医科大学卒業。1982年、新潟大学医学部産科婦人科学教室入局。 産婦人科医として3年間研修後、県内の地域病院の1人医長として4年間 勤務。1992年、新潟大学医学部において医学博士号を授与される。新潟 県立がんセンター新潟病院、新潟県立中央病院勤務を経て、1999年、大 島クリニックを開設、院長に就任。患者さんと意思疎通をはかることは不妊 治療において欠かせない。デメリットも含めデータを提示して患者さんの意見 を聞き、患者さんが納得したうえで治療をすすめるのがポリシー。
glicoloveさん(35歳) Q.不妊検査でAMHの値が5.1pMと診断されました。「卵子の検査も兼ねて、すぐにでも体外受精をしたほうがよ い」とのこと。通院している病院は信頼していますが、 AMH検査が比較的新しいものであると聞き、タイミング療法や人工授精を飛ばして体外受精からスタートすることにやや疑問を感じます。もちろん自然妊娠すること もあると聞きましたが、5.1というのはそれほど低い数 値なのでしょうか。

ホルモン値から考える

AMH(抗ミュラー管ホルモン)の値が 5.1 というのはかなり低い数値なのでしょうか?
大島先生 AMHの測定法は現在、2種類あるようですが、一般的とされている数値ではだいたい 15 〜 20 くらいが正常値、 3.0 以下だとかなり低いと言われています。
その基準で考えれば、この方の数値はやはり低めの範囲に入ると思います。
AMHの値は卵巣機能を判断する決め手となりますか。
大島先生 AMHは、残っている卵胞数に比例していると言われ、確かに卵巣の予備能を測ることができます。
ただ、あくまでも目安の一つなので、AMHだけで判断するのではなく、他の検査を含めて総合的にみたほうがいいと思いますね。
現在の卵巣機能を調べるなら、FSHインヒビンBというホルモンの値や、胞状卵胞の数が参考になると思います。
当院では、月経の3日目でFSHの値が 13 以上、胞状卵胞の数が 10個未満の方に、プラスの検査としてAMHの検査を提示しています。
保険が適用されない、自費による検査なので、ご説明して希望された方に実施しています。

年齢に合わせた進捗

タイミング療法も人工授精も飛ばして、いきなり体外受精をすすめられて戸惑われたようですが……。
大島先生 体外受精をして、もう少し詳しく体の状態を調べるというのはメリットのあることだと思いますが、最初からというのは確かに抵抗を感じますよね。
不妊治療は患者さんが納得されて受けることが大切です。
40 〜 43 歳くらいの方でしたら急ぐ必要があると思いますが、この方は 35 歳。
まだ少し時間的に余裕がありますから、まず1〜2周期は初期治療をされて、その間にじっくり先生から体外受精を含めたお話を聞いて、納得してから進まれてもいいと思いますが……。

患者さんが納得する治療を

大島先生ならどのような治療計画を立てられますか。
大島先生 AMHが 5.1 と低い値ではありますが、本当に反応しないのは3.0 以下の方。
まだ卵巣が機能している可能性があるので、注射で少し卵巣刺激をしながら、タイミング、もしくは人工授精を行って、きちんと排卵するか確認します。
卵巣がどのように反応して卵胞が できあがるのか、注射を打っても卵胞数が少ないのか、3〜4個程度は排卵するのかなどを調べて、その結果をもとに体外受精へのステップを考えます。
多少時間のロスはありますが、そのほうが患者さんも納得されるのではないかと思いますね。
※FSH:卵胞刺激ホルモン。卵胞の発育を促す。
※インヒビンB:卵巣の 顆粒膜細胞から産生されるホルモンで、卵胞発育と排卵を調節する。卵巣の予備能を評価する際の指標の一つになる。

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