胚盤胞や二段階胚凍結など受精卵の凍結はどんな方法がベスト?

体外受精での受精卵の凍結は、胚盤胞まで育ててから 移植したほうがいい? その場合の妊娠率は? 京野アートクリニックの京野先生にご相談しました。

京野 廣一 先生  福島県立医科大学卒業後、東北大学医学部産科婦人科学教室入 局。体外受精の第一人者、鈴木雅洲教授に学ぶ。1995年、レディー スクリニック京野(大崎市)開院。2007年、京野アートクリニッ ク(仙台市)開院。受精卵の凍結技術に関しても研究を重ね、新 たな技術を用いる場合も臨床データを慎重に比較。移植も患者さ んの状態に合わせて柔軟に方法を検討している。
ふあさん(主婦・26歳)からの投稿 Q.移植は胚盤胞が、妊娠率が高いと言われていますが、 1つの受精卵が胚盤胞まで育つ確率は高くないと聞いています。 そこで先生から、受精して分割する前の段階の胚を数個と 胚盤胞(残りは胚盤胞まで育てて、胚盤胞になれば凍結)の 2 種類に分けて凍結しましょう、と言われました。 受精卵を凍結するには、どのような方法がベストなのでしょうか?

胚培養まで育つ確率

受精卵が胚盤胞まで育つ確率はあまり高くないと言われていますが、実際はどうなのでしょうか?
京野先生 採卵した翌日の受精卵の状態(前核期)を分母にとった場合、胚盤胞まで育つ確率はだいたい 40 〜 50 %程度と言われています。3日目に6〜9細胞に分割するのですが、そこまで育つ確率は 95 %以上、100%近くの数字になるんですね。
なかには採った卵すべてが胚盤胞まで育つ方もいらっしゃいますが、それはごくまれなケース。受精卵の培養環境はかなり改善されてきましたが、それでもまだまだ卵管の中の環境にはかなわず、100%の受精卵を胚盤胞に育てるという段階まではきていません。

胚盤胞移植は、高妊娠率?

やはり胚盤胞で移植したほうが妊娠率は高いと聞きますが……。
京野先生 胚盤胞での凍結・融解・移植後の着床率や妊娠率が高いのは事実です。
たとえば卵が 10 個採れたとします。成熟卵、つまり治療に使える卵子はそのうちの8個程度。8個のうちの受精率は約8割と考えると、その時点で5〜6個くらいまで減ってしまいますよね。そこから胚盤胞まで育つのは2〜3個。そこまでいったものを戻すわけですから、妊娠率も高くなります。セレクトされて最後まで残った卵たちということですからね。
また、胚盤胞での移植は原則1個移植ですから、多胎妊娠を防げるというメリットもあります。

移植方法の選択

胚盤胞まで育つ確率と妊娠率、どちらに賭けるか迷うところですが、ふあさんの場合の選択はどう思われますか。
京野先生 通常の施設では1回目、2回目は2〜3日目の初期胚を移植することが多いと思います。
なかには最初から胚盤胞だけで移植する施設もありますが、完璧な培養条件が整っていないと難しいと思いますね。ですから、ふあさんのように、初期胚と胚盤胞の2種類に分けて凍結するという方法は、非常にいい考え方だと思いますよ。
採卵して顕微授精までしたのに、胚盤胞まで育たずに移植がキャンセルになってしまうのはとてもショックなこと。初期胚も凍結しておけば、移植できないということはほとんどなくなりますから安心です。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。