体外受精2回を経て感じたこと、わかったこと。

主人と母、明るくて優しい 二人のサポートが心の支え。 自分に合うものも見えてきたんです。

体外受精の治療を経験したタマさん。 2度の陰性を乗り越えた今、 気持ちが再び熟すのを待っています。

タマさんの体調回復を機に 不妊治療をスタート

タマさんとイツ人のご主人の出合いは、留学先のイギリスでした。

異国の地で運命的に出合った二人は、長い遠距離恋愛期間を経て7年前にゴールイン。

「彼の第一印象は、暴力をふるわなそうな人!(笑)とにかく草食系でおだやかな人なんです」

そんなご主人との日々や不妊治療の体験を綴ったブログは、タマさんお得意の楽しいイラストとユニークな語り口調で、幅広い年代層に人気です。

結婚当初は、毎日お互いにハードワークだったそう。

忙しさからタマさんは体調を崩してしまいます。

回復後にそろそろ子づくりをと本格的に考えてタイミング法を試しますが、妊娠には至りませんでした。

「治療を始める以前は、不妊治療はつらそうで暗い印象で……。

でも、一度検査だけはしたほうがいいよねと主人と話し合って、近所の病院に行きました」

病院で受診すると、タマさんの卵子が少ないことと、卵巣年齢が 40 代(当時のタマさんは 33歳)であることがわかり、早めの治療をすすめられました。

「あれよあれよという間に人工授精が始まり、計4回試すも、かすりもしない……そんな状況でした」とタマさん。

その後、実績や評判を徹底的に調べて、県外の病院への転院を決意しました。

想像もしなかった痛みや 気分の落ち込みを体験

そして昨年2月、体外受精で有名なクリニックへ転院。

そこで最初に体外受精の説明DVDを見た時には、あまりに怖くて涙が出たほどだったそう。

そんなタマさんを支えるように、仕事で帰りの遅いご主人もわざわざ時間をつくって、病院へ同行してくれました。

初めての薬に注射、そして採卵はとても大変だったそう。

「採卵は、なにかの怖い儀式かと思ったほど! 今までに経験したことのない倦怠感や痛みを感じて、つらかったです」

1回目の体外受精では3個の受精卵ができたものの、6日目に分割が停止してしまい、胚移植には至りませんでした。

「新しい命を生み出す、という女性に当たり前に与えられているだろう能力が自分にないかもしれない……そう考えると、人間失格……とまで思いつめてしまいました」

でも、落ち込むタマさんにご主人は心強い言葉をかけてくれました。

「できないことばかりに目を向けないで、うまくいっている部分に目を向けよう」と。

そして、昨年 11 月より2回目の体外受精をスタート。

避妊薬、ホルモン剤の服用、そして計 11本にもおよぶ注射……。

またもや体が敏感に反応して気分の落ち込みを経験しますが、採卵は前回よりも落ち着いて受けることができました。

本当はとてもつらく、苦しいはずの治療。

そんな状況を紛らわすように、タマさんは、2回目の体外受精への道のりをブログに詳しく綴っていきます。

タマさんならではの目線で描かれたイラストは、時にシュールで笑いを誘うほど。

どんな状況下でも、楽しむことを忘れない、そんなタマさんの前向きな気持ちが伝わってきます。

2回目の採卵で採れた卵子は8個。

そのうち3個が見事受精しました。

「今回こそは、胚移植までいってほしい……」

祈るような気持ちで、受精卵が育つのを待ちました。

そして採卵から5日後、「桑実胚」までに成長したことがわかり、いよいよ胚移植を受けました。

「体外受精をして感じたのは、待つことのつらさです。

まずは受精をしているかどうかを聞くまでの間、そして移植後に、妊娠を判定するまでの間。

まるで拷問のようでした。

だからそんな時は、テレビの暗いニュースは見ない!

意識を集中できるような漫画やDVDを見て、気を紛らわしていました」

そして2週間後、妊娠の判定を聞くためにご主人と病院へ向かいますが、診察室に入った瞬間、先生の表情で「ダメだったことがすぐにわかりました」。

ある程度の覚悟はしていたものの、「ごめんね、これからもよろしくね」と涙するタマさんに、ご主人はまた「よく頑張ったね、こちらこそよろしく」と励ましてくれました。

次の体外受精は ご主人がキャプテン

ブログにたびたび登場するタマさんのお母様は底抜けに明るいキャラクター。

最初こそ体外受精に理解がなかったそうですが、タマさんの懸命な姿を見て、今では全面的にバックアップしてくれているそう。

「今しかないんだから、頑張りなさい!」と日々応援してくれています。

そして、タマさんのそばでいつも優しい言葉とともに見守ってくれるご主人も、タマさんにとってかけがえのない存在。

タマさんと結婚するまで、学生の頃には研究生として来日してくれたり、最終的には日本語もパーフェクトに習得してこちらで就職してくれるほど、優しい努力家です。

不妊治療も最初は迷いがあったそうですが、今は忙しくてもできる限り付き添ってくれるそう。

「今までは私が主導で治療してきましたが、体調が乱れてしまい、今は少しのお休み中なんです。彼も疲れているので、心と体が万全になったら、今度はあなたが治療をリードするキャプテンね、と話しているんです」

穏やかな口調ながら、いつも物事を冷静に見つめているタマさん。

「私は、あとで後悔したくないので、その時の自分の体調や気持ちを先生にとことん話すことを心掛けています。

2回の体外受精を経て、自分に合うもの、合わないものがある程度わかってきました。

だから、次の体外受精は、自分に合ったものを先生と相談しながら選んで進めていきたいと思っています」

◆ブログ「4コマうちのオジャーマン不妊治療」

 

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