まず自分自身を知ること【医師監修】

 

治療やストレスで、体も心も 不安定になりがちな不妊治療。 特に最初は不安がいっぱい……。 今回の秀子先生のお話は、 不妊治療を始めるときの 最初の心構えについて。 ビギナーのジネラーたちへ 厳しくも温かいメッセージです。

【医師監修】田村 秀子 先生 京都府立医科大学卒業。同大学院修了後、京都第一赤十字病 院に勤務。1991年、自ら不妊治療をして双子を出産したのを機に、 義父の経営する田村産婦人科医院に勤め、1995年に不妊部門 の現クリニックを開設。繊細な感性を秘めた、おおらかな人柄が 魅力の先生は、A型のみずがめ座。取材時はいつも、人生の示 唆に富んだ名言が飛び出す。自らの不妊症の克服や、乳がんの治 療経験に基づく診断、心のケアは女性医師ならでは。
ハンナリさん(会社員・33歳)Q. 今日、デビューしました。 採血して、がんとクラミジアの検査をしました。 基礎体温とエコー検査から、私の卵子は 成長するのが遅く、通常は14日なのに 28日かかっているということでした。 まだ治療を始めたばかりだけど、 次の病院の日が不安でしょうがないです。

自分の排卵日がいつか わかりますか?

不妊治療を始めるにあたって大切なのは、まず自分の体を知ることです。そのとき、決して〝不妊症の勉強〞をしてはいけません。それよりも、月経とは?  排卵とは?  つまり女性の体について知っているほうが賢明です。

まず、基礎体温表をつけてみてください。「毎日体温を測るのはストレスがたまって逆効果」なんていう人もいるけど、その日その日の体温を気にして一喜一憂することはないの。最近は、測定した体温を自動記録できる体温計もあるから、自動記録しておいて、1週間分くらいまとめて、暇なときにプロットしていけばいい。

そこへ自分の体の様子や変化をどんどん書き込みましょう。おりものの量や色の変化、胸の張りなど、排卵の兆候というのは必ずどこかにあるはず。「何となくおりものが増えてきたな」とか「何となく体温が上がってきた」とか「あ、これが排卵なんだ」とわかってきます。

ただ、基礎体温表はあくまでも答え合わせと思うこと。排卵日というのはズレが生じるものです。特に、生理不順の方は、どういうふうにズレているのか知ることが大事なの。そのためにも、やはり基礎体温表は2〜3周期くらいはつけてきてほしいです。

女性の体は決して体温で排卵しているわけじゃない。体温が上がったときに初めて「排卵が終わった」ということを確認できるだけ。ですから、体の変化に今まで気づかなかった人は、特に体の変化に敏感になってほしいですね。病院に来るときは、自分で「排卵日はここだろう」というところまではわかる努力をしてみてほしいな。そうすれば、治療に入るのもスムーズですから。

「生理は来るもの」と思って 治療をすることが大切

次に、病院には何のために行くのか、ということを考えてみてほしいのね。本来は「悪いところがあったら見つける」のが病院なのに、「どこも悪くない」と言ってほしくて来る人が多いんです。病院は決してお墨付きや太鼓判をもらいに来るところじゃない。「悪いところが見つかったら、何か言われたらどうしよう」と思うなら、その人はまだ病院に行くのは時期尚早かもしれないわね。

病院デビューする人は、まず自分を知ること。生理不順の人は、自分がどう生理不順なのかを知る必要がある。そして、不妊治療を始めたら、生理は来るものと思って治療を始めたほうが絶対トクね。そうすれば、生理が来た、来ないで一喜一憂しなくてもすむ。基礎体温や体の変化から排卵日の見当をつけて、きちんと生理が来たら「エライやん、私の卵巣!」と誉めてあげましょう。

女性の一生のうちで、来るはずの生理が来ないのは、妊娠するときのせいぜい2〜4回くらいなわけ。それが、治療を始めてすぐの「今」でなくてもいいんじゃない?  と自分に言い聞かせてみませんか?  そんなに焦らないで。まず生理は来るものと思って治療を始めてください。

秀子の格言
これから病院に行く人は、 不妊ではなく、 まず自分自身を知ることが大切。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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