体外受精に初挑戦するのですが痛くないか不安です

初めて経験する体外受精に不安がいっぱい。 排卵誘発剤の注射や、採卵時の麻酔など、 不妊治療に伴う「痛み」について、 塩谷雅英先生、詳しく教えてください!

塩谷雅英先生 : 島根医科大学卒業。卒業と同時に京都大学産婦人科 に入局。体外受精チームに所属し、不妊症治療の臨 床に取り組みながら研究を継続する。1994~2000 年、神戸市立中央市民病院に勤務し、顕微授精によ る赤ちゃん誕生に貢献。2000年3月、不妊専門ク リニック、英ウィメンズクリニックを開院する。朗らか でいつも一生懸命、サービス精神旺盛なA型、しし座

ドクターアドバイス

痛みの感じ方は人それぞれ。同じことをしているのに、不思議ですよね(笑)
だんだんさん(主婦・38歳)からの投稿  Q.来年、体外受精に初トライしようと決心したのですが、 排卵誘発剤の注射が痛いとか、採卵時に痛むとか、 いろいろと聞いたことがあって不安です……。 採卵時には麻酔などをするのでしょうか? 今から心の準備をしておきたいので教えてください。

体外受精、痛みへの不安

編集部 体外受精が初めてという人は、治療に伴う「痛み」について、漠然とした不安や恐怖心を抱く方が多いようですね。

塩谷先生 まず、痛みというのは人によってかなり感じ方が異なります。全然平気な人もいれば、身をよじるほど痛がる人もいる。不思議ですよね(笑) 。関西では「痛がり」なんていいますが、私が 20 年間かけて医者としてたどり着いた結論は、その人は「痛がり」なのではなく、本当に痛いんだということ。
 
世の中には、1の痛みを100くらいに強く感じてしまう方が少なからずいらっしゃいます。それなのに、いつも周囲から、大げさだと、これぐらい我慢しなさいとか言われてしまう。ただ、心理的な恐怖心が働けば、痛みはその2倍、3倍にも感じられることがあります。例えば、先生との信頼関係がうまくいってなかったりすると、苦痛は間違いなく2倍になるでしょう。逆にすべてをゆだねられるくらい先生を信頼していたら、痛みも半分になる、ということは大いにあると思いますよ。

ペン型自己注射の採用

編集部 ジネコでも、排卵誘発剤の筋肉注射が痛いという声がよくあります。

塩谷先生 針を皮膚に刺すのですから、まったく痛くないというわけにはいきません。ただ、耐えられないような痛みではないはずです。 排卵誘発剤の注射は、方法によっては、7〜 10 日間で毎日1本ずつ打つ場合があります。最近は自宅で自己注射をする方も増えており、当院では指導教室も行っています。 

ちなみに、皮下注射のフォリスチムは、つい先ごろ、扱いやすいペン型の注入器が日本で発売できるようになりました。これからどんどん広がっていくんじゃないかな。注射のためだけに通院しなくてもいいので、遠方の方やお勤めの方に有効だと思います。

皮下注射は筋肉注射に比べて痛みが少ない傾向にあるので、痛みに弱い人は、皮下注射でできる治療を医師にお願いするといいでしょう。ただ、患者さんの体質とかホルモンの値によって、どうしても筋肉注射でなければならない場合もありますので、ケースバイケースです。

注射を避けた体外受精

編集部 注射をせずに採卵する方法もあるのでしょうか。

塩谷先生 痛みに対する恐怖心が極端に強い人は、自然周期とか、クロミッドなどの飲み薬を使う採卵方法もあります。ただ、一般的に注射薬を使ったほうが、1回当たりの妊娠率が、使わない場合に比べておよそ3倍高くなるといわれています。もちろん、他の選択肢も提示しますが、当院では費用対効果の関係で注射の選択が多い傾向にありますね。

麻酔について

編集部 注射と並んで心配なのが、採卵時の痛みです。麻酔と聞くと少し構えてしまいますが、麻酔をせずに採卵するとやはり痛いのでしょうか?  

塩谷先生 採卵は針を卵巣に進めて採取しますが、大体採血するときの痛さだと考えてもらえれば。ですので、採血できる人は採卵もできますよ。卵が1個の場合なら、採血するのと同じ痛さなので、麻酔はしません。でも、卵が 10 個になると、ある程度お腹の中で針を動かすので、やはり苦痛を伴います。当院では1〜3個なら座薬で痛みを軽減する方法、4個以上なら点滴で静脈麻酔をします。
 

プロポフォールという静脈麻酔用の薬は、副作用がなく、目覚めもスッキリ(笑)。「眠ってしまう」というと、必ず患者さんから「全身麻酔なのですか?」という質問を受けるのですが、全身麻酔とはまったく別。呼吸はそのままに、 20 分ほど完全に眠っている状態で採卵を行います。

ただ、静脈内に薬を点滴する際の痛みはあります。担当医とよく相談して、最も体に負担の少ない方法を選択されることが望ましいですね。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。