【Q&A】卵胞発育状況と人工授精後の薬の処方について〜丸田 英先生【医師監修】

ゆきさん(32歳)

初めて人工授精をしましたが、最終の卵胞チェック(人工授精の2日前)で15ミリ相当の卵胞がいくつかありました。
4つ以上育ったら人工授精は中止と聞いており、卵胞チェック当日にhmg あすか75単位を打ちました。

卵胞チェックから2日後の人工授精でエコーされることなく、人工授精が実施され、5日後に来院して排卵したかチェックするという説明を受けましたが、5日後の来院時には薬の処方のみでエコーの実施もされず、医師に聞いても「薬の処方のみ」とのことでした。

それであれば人工授精当日にルトラールを処方し、3日ないし5日後から服用でよかったのではないでしょうか。
医師によって内容に食い違いがあるように感じますが、どのような処方が正解なのでしょうか。

人工授精の処置において、今回私が受けたスケジュールや内容は一般的には普通なのでしょうか。
ご見解をいただけますと幸いです。

まるたARTクリニックの丸田 英先生に伺いました。

【医師監修】まるたARTクリニック 丸田 英 先生
久留米大学医学部卒業。名古屋大学医学部附属病院 産婦人科を経て、2012年3月より生殖医療専門。2020年3月、まるたARTクリニックを開業。初診から治療終了まで同じ医師が担当することにより、効率的で高い成功率が得られ、何より患者さまの安心へと繋がると考え、診療に臨んでいる。「どんな時も患者さま第一、患者さまご自身の一瞬一瞬を大切に」を目標に掲げ、不妊治療と仕事の両立に理解ある治療スケジュールを導入。また、PRP療法などの最新治療や無料託児所完備等、不妊治療の環境向上にも積極的に取り組んでいる。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

まずは情報を拝見し、私の見解についてお伝えします。

(1)人工授精当日にエコーがなかった点について
事前の卵胞チェックで日程を決め、当日は超音波をせずに実施する施設は少なくありません。この点だけであれば一般的な範囲ですが当院では確認するようにしています。排卵を促すお薬(注射や点鼻薬)を使ったかどうかで評価が変わります。排卵を促すお薬を使用しても排卵できないこともあるので注意が必要です。

(2)5日後に排卵チェックがなかった点について
人工授精後の排卵確認は、行う施設と行わない施設があり、必須ではありません。ただ、「排卵をチェックする」と説明を受けていたのに実施されなかったのであれば、戸惑われるのは無理もありません。次回、「排卵したかどうかは確認していただけますか」と率直に尋ねてよい内容と思います。

(3)ルトラールの処方について
黄体ホルモンのお薬は、排卵前に飲み始めると排卵を妨げる可能性があるため、排卵後から服用するのが基本です。人工授精当日に処方して数日後から飲んでいただく方法も、再診時に処方する方法も、どちらも行われており、「これだけが正解」というものではありません。ご提案の方法も合理的です。またルトラールの内服タイミングが間違うと着床しにくくなります。排卵確認後、翌日または翌々日から内服すると着床環境を崩さずにまた黄体機能不全があってもカバーできます。

(4)注意が必要な点について
むしろ確認していただきたいのは卵胞の数です。15mmほどの卵胞が複数ある状態で注射を追加した場合、成熟する卵胞が増え、双子や三つ子の可能性が高くなります。ご主人の精液所見はとても良好ですので、なおさらです。今回、最終的に何個の卵胞が育っていたと判断されたのか、担当の先生に確認されることをお勧めします。妊娠率を高めたい一方で安全な妊娠、出産を目指す場合、排卵の個数確認は大事ですね。

(5)今後の方向性の見解について
拝見するかぎり、妊娠に至っていない一番の理由は、排卵が不規則であることだと考えます。ご主人の所見が良好ですので、お薬で卵胞を1個、安定して育てて排卵させることが治療の中心になります。これは「できるだけ自然な形で」というご希望にも沿います。あわせて、卵管の検査がお済みかどうか、排卵が不規則になる原因(ホルモン、体重や生活面を含めて)の評価も大切です。

32歳というご年齢は十分に妊娠が期待できる時期です。一方で、すでに1〜2年治療を続けておられますので、ここからは期間の目安を決めて計画的に進めることをお勧めします。様々な報告では精液検査が良好である場合、自然妊娠の確率のほうが人工授精より高いとの報告もあります。今後の方向性は、主治医とよく相談してみてください。

次のご質問内容についてお答えします。

①人工授精後のエコーの実施について、一般的なスケジュールを教えてください。
月経中から18-20mmに至るまでエコーを行います。また人工授精後の排卵確認もできるとなおよいと思います。

②ルトラールの処方タイミングについて、先生のご意見をお聞かせください。
上記の(3)をご参照ください。

③卵胞チェック後のhMG注射の効果について、どのように評価されますか?
これは診察された医師の判断です。このタイミングでの注射変更は、私には答えが難しいです。

④卵胞が4つ以上の場合の人工授精中止の理由を教えてください。
多胎妊娠のリスクが高く安全な出産が難しくなるからです。

⑤医師によって処置内容に違いがある場合、どのように対処すべきでしょうか?
クリニックや医師によっても考え方は確かに違います。信頼のおける施設、先生に担当してもらうことです。そのためにはクリニックで開催されているセミナーや勉強会に参加されるとよいと思います。

⑥最後に、治療データ(年齢、体組成、AMH値、不妊の原因となる病名)をみて気になるところがあれば教えてほしいです。
年齢と不妊期間から考えますと「1.排卵の不安定さ」、「2.受精障害」を想定します。精子と卵子がうまく反応しないことが原因の可能性があります。もしそうであれば顕微授精が対処法になりますので主治医にご相談されてはいかがでしょうか。

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