自己注射が苦手で、自分で針を刺すことに慣れず、毎回ためらってしまうというrainbowさん。自己注射を選ぶメリットや、怖さや痛みとの向き合い方について、田村秀子先生にお聞きしました。
毎日、かなり苦手な自己注射をなんとか行っていますが、なかなか慣れません…。痛くはないのですが、自分で刺すことに抵抗があり、注射器を持ったままかなりの時間を要してしまいます。どうしたら苦手意識をなくして、自己注射ができるでしょうか?

京都府立医科大学卒業。同大学院修了後、京都第一赤十字病院に勤務。1991 年、自ら不妊治療をして双子を出産したことを機に、義父の経営する田村産婦人科医院に勤め、1995 年に不妊治療部門の現クリニックを開設。
卵胞の成長をうながす自己注射は通院の回数を減らすのが目的
苦手だけれど頑張って自己注射を続けるのと、通うのが大変でも病院で打ってもらうのと、rainbow さんはどちらが楽ですか?
自己注射がどうしてもストレスになるなら、病院で打ってもらうこともできます。なぜなら、自己注射をすすめる理由は単純に「通院が大変だから」です。
自己注射は排卵誘発剤で、体外受精だけでなく一般不妊治療でも使われます。卵胞を育てる、数を増やすのが目的です。卵胞の成長が途中で止まってしまう多囊胞性卵巣症候群(PCOS)などの人で、通院が大変な人は、ほぼ自己注射をされています。たとえば、卵胞が十分成長するのに3週間ぐらいかかる人で、注射を打って1週間後に大きさを調べるという場合、継続して毎日打っておいたほうがいいけれど、そのためだけに通うのは大変なので「家で注射してきてくださいね」となります。昔は注射のためだけに来院してもらうか、注射を持ち帰って最寄りの病院で打ってもらうしか選択肢がありませんでしたが、今は自己注射が選べるようになっています。
自己注射には「ゴナールエフ®」のようなペンタイプの注射と、病院で看護師が行う手順でする注射があります。卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が心配される人にはペンタイプが多いですね。これは針も細く短くて痛みもほとんどありません。注射器を持ったまま時間を要するとあるので、この方は後者でしょうか。

すっぴんでもパジャマ姿でも泣いてもいい自分のペースでできるのがメリット
私のクリニックの患者さんにも、いったん自己注射を選んでも、やっぱり病院で打ってもらいたいという方はいます。でも「やっぱり病院で」という人は、仕事や買い物の途中で寄ったりできる「病院までの距離が近い人」。一方、注射のためだけに電車で片道1時間もかかる人には、家で打ったほうがいいのでは、とすすめます。女性は通院や普段の買い物でさえ、身支度を整えたり軽く化粧をしたり、そういう手間があるじゃないですか。自己注射ならそんな必要はありません。風呂上がりにすっぴんでもパジャマ姿のままでもできる。怖い!怖い!って泣きながらでも、叫びながらでもいい。病院だと他人の目があって我慢してしまうけれど、自宅ならいつでも、誰に気兼ねすることなく、自分のペースと感情でできる。それが自己注射のメリットなんです。それに、他人に打ってもらうとどんなに「今、打ちますよ」と言われてもタイムラグがありますが、自分で打てば「来るぞ!」という瞬間がわかるから、痛みも怖さも少ないんですよ。私自身も不妊治療中には自分でお尻や腕に注射していました。
保冷剤で冷やしたりつまんだりあとは思いきって覚悟を決めて
他の方のコメントにもあるように、保冷剤で冷やすのは有効ですね。美容系の治療では注射の前に何秒か保冷剤を当てて感覚をなくす方法をとっています。あとは、皮膚をつまんで打てば、よほど痩せている人でなければ痛みは軽減します。クリニックでは看護師から事前に自己注射の手順や注意点など説明があるはずなので、その時に相談して「本当はすごく怖いんです」と本音を打ち明けてもいいと思いますよ。
実は、医師って注射が苦手なんです。どんな病院でも注射をするのはたいてい看護師でしょう。めったに注射をしない医師が「自分でできるよ!」とすすめるんだから、安全で楽なんです。あとは覚悟を決めて、思いきって「えい!」とやるだけ。頑張って乗り越えてください。
秀子の格言
通院の時間や手間もかからず気兼ねなくできるのが自己注射。「えい!」と思いきって!