【Q&A】胚盤胞移植に向けた体重管理について~村田先生【医師監修】

はなさん (47歳)

現在、残している胚盤胞を移植したいと思ってるのですが、体重が増加して66kg前後です。標準体重に戻してから受けた方が良いでしょうか。
また、ERA検査を改めて受けたいのもあり、移植するなら検査後です。
クリニックでは2個戻しが出来るようになりましたが、2個が良いのか、一個ずつが良いのかも悩んでます。
クリニックでは「いろいろ言わずに移植を」という指示をされ続けてますが、44歳の頃に会った先生からは取れた卵の年齢なら移植が45歳を過ぎても関係ないという事を言われました。また、生理が止まっても卵があれば移植する治療は出来るとも。。。
移植は急いだ方が確率上がるのか、体重を標準にした方が確率上がるのか、ERA検査は意味がないのか、知りたいです。
また、クリニックで保管してる胚盤胞を他のクリニックへ持っていき治療することは可能かも教えてください。

ARTクリニックみらいの村田先生にお話を伺いました。

ARTクリニックみらい 院長 村田泰隆 先生
1994年 名古屋大学医学部卒業後、安城更生病院にて産婦人科全般に従事。1998年 名古屋大学付属病院にて、周産期・不妊症を専門に診療および研究。2003年 名古屋大学医学部大学院卒業後、IVF大阪クリニック・なんばクリニックにて4年にわたり体外受精年間1500周期以上の臨床経験を積む。2007年 竹内病院トヨタ不妊センター長、2010年 エンジェルベルクリニック不妊センター長を経て、2016年 ARTクリニックみらい開院。7年間で約5,500例を妊娠出産に導く。個々の背景や将来の家族計画に合わせた治療を信条としている。医学博士。日本産科婦人科学会専門医。日本生殖医学会認定生殖医療専門医。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

ご兄弟を望み、長く治療を続けてこられたのですね。大切に凍結保存されている胚盤胞をどう活かすか、慎重に考えておられるお気持ちがよく伝わってきました。
ご質問に対して、順にお答えします。

 

①体重増加が妊娠に与える影響と、標準体重に戻すべきか教えてください。

体重増加・肥満は、排卵障害妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などのリスク上昇につながります。ぜひ健康的な方法で標準体重を目指すことをお勧めします。しかしBMI28は軽度肥満にあたり、現在の年齢を考えると、標準体重に戻すことにこだわって出産時期を先送りすることも賢明とは言えません。体調や生活習慣を整えながら、現実的な時期に移植を検討してください。
ERA検査を再度受けることが、妊娠成功率にどのように影響するか教えてください。

ERA検査の「不成功」はどのような結果だったのでしょうか。もし受容期(receptive)でなかったとしたら、再検して正しいタイミングを確認することをお勧めします。着床は、胚の速度と子宮内膜の状態が一致したときにはじめて成立します。胚自身に能力が備わっていることが前提ですが、そのような胚であっても、子宮内膜とのタイミングがずれてしまえば着床・妊娠の機会を逃してしまいます。

③胚盤胞の移植において、2個戻しと1個ずつ戻す方法の妊娠率について教えてください。

すべての胚が出産に至るわけではありません。複数の胚を戻すことで妊娠率は上昇しますが、一方で多胎妊娠の可能性も高まります。45歳で作られたPGT未実施胚で、これまで治療に難渋してきた経過を考えると、出産に至る正常胚の確率は高いとは言えません。時間効率を重視するのであれば、2個戻しも一つの選択肢です。メリットとリスクを十分に理解した上で、担当医とよくご相談ください。

④移植時期について、急いで行うことのメリット・デメリットを教えてください。

妊娠率に最も影響するのは胚が作られた年齢であり、受け手の子宮は、加齢の影響を比較的受けにくいとされています。しかし、年齢が上がれば上がるほど、その後の出産や子育てに伴う医学的・社会的リスクは増加します。体調や子宮内膜の状態を整えた上で、過度に先延ばしせず、なるべく早い段階で移植することをお勧めします。

⑤他のクリニックに胚盤胞を移送して治療を行う場合、特に注意すべきことはありますか?

凍結胚の移送は可能です。現在の施設と受け入れ施設双方の手続きと同意が必要になります。凍結方法、保存状況、これまでの治療経過や検査結果などの情報引き継ぎをお願いしてください。移送には費用や日程調整も伴いますので、事前に十分確認してください。

⑥最後に

大切に保存されている胚をどのように活かすか、とても大切な選択ですね。慎重に考えながらも、現実的な時間軸を踏まえ、ご自身が納得できる決断をなさってください。

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全記事、不妊治療専門医による医師監修

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