【Q&A】2個移植の妊娠率は?~小川達之 先生【医師監修】

りんごさん(43歳)

2個移植についての質問です。2個移植にて陽性になった投稿を目にします。2個移植した事で双子になる以外で何か悪く作用するなどリスクはあるのでしょうか?
現在2つ胚盤胞があります。どちらも妊娠できる卵だったとしたら、2個移植したら双子になるのでしょか。あるいは、どちらか1つが妊娠できる卵だったとしたら、それは2個移植しても、1つずつだったとしても、結果的には妊娠することになるのでしょうか。
1つずつだったら妊娠したかもしれないのに、2つしたことによってダメになる事はありますか?

表参道ARTクリニックの小川達之先生にお伺いしました。

【医師監修】表参道ARTクリニック 小川達之 先生
2009年山梨大学医学部卒業。2016年より山梨大学医学部附属病院産婦人科にて不妊治療にあたる。2024年4月より亀田IVFクリニック幕張に入職、2025年8月より表参道ARTクリニックの院長に就任。ひとりひとり個別の状況に対応し、患者様の立場に立った医療を提供したいという想いを持って日々、診療に従事。医学博士。日本産科婦人科学会産婦人科専門医・指導医。日本生殖医療学会生殖医療専門医・指導医。日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください

2個移植の最大のリスクは、双胎妊娠の可能性が高くなることです。双胎妊娠では、早産、低出生体重児、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、帝王切開の可能性などが、単胎妊娠と比べて高くなることが知られています。そのため現在の生殖医療では、安全性を重視し、原則として1個移植が基本とされています。
一方で、2個移植を行ったこと自体が子宮に悪影響を及ぼしたり、胚同士が干渉して着床しにくくなったりするという明確な医学的根拠はありません。2個移植をした場合、2つとも着床して双子になることもあれば、1つだけが着床して単胎妊娠となることも多くみられます。
これは数字の上での話ですが、仮に15%の確率で出産に至る胚を2個移植したとしたら、双胎妊娠の確率が2.25%、単胎妊娠が25.5%、出産に至らない確率が72.25%です。
また、「1つずつ移植していれば妊娠したかもしれないのに、2個移植したことで妊娠できなくなる」ということを示す明確なデータはなく、通常はそれぞれの胚が独立して着床する力を持っていると考えられています。

妊娠初期に双子として確認されたうちの一方が、成長の途中で自然に消失するVanishing twinという現象が起こることもあります。二絨毛膜二羊膜(DD双胎)の場合、残った赤ちゃんはその後問題なく成長し、無事に出産に至るケースも多いものの、単胎妊娠と比べると早産や低出生体重児のリスクがやや高くなる可能性が報告されています。
2個移植は1回あたりの妊娠率をやや高める可能性がある一方で、双胎やその関連リスクが増える点を踏まえ、年齢、これまでの治療経過、胚の状態、ご本人の考え方を総合的に考慮して選択することが大切です。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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