【Q&A】流産後の遺残組織は自然に消える?~加藤 徹 先生【医師監修】

りんごさん (30歳)

10月1日に1回目4AAの凍結胚移植を行い、陽性が出ましたが、7w5dで心拍確認できず稽留流産となりました。
5w1dに大量出血し、注射や薬で抑えてきましたが、毎日少量の出血があり、8w2dで手術前に自然排出してしまいました。
1週間後の診察では1センチほどの組織が2つ残ってしまっており、血流もありました。hcgは1140でした。

排出のため、プレマリンとノアルテンを服用し、20日後に生理が来ました。D8で受診したところ、組織の大きさは変わらず、血流もありましたがhcgは64まで下がりました。

また月経を待つことになったのですが、この遺残は消えるのでしょうか。消えなかったらどうなるのかや、hcgが60も残っている中で月経が来るのか不安です。
性行為はもうしても大丈夫なのでしょうか。
教えてくださるとありがたいです。

Kobaレディースクリニック 加藤 徹 先生にお聞きしました
【医師監修】Kobaレディースクリニック 加藤 徹 先生
兵庫医科大学大学院卒業後、兵庫医科大学病院周産期センター長や医局長を歴任し、令和4年よりkobaレディースクリニック副院長として従事。令和6年6月同院長就任予定。日本生殖医学会認定生殖医療専門医、指導医。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

遺残組織について、今後自然に消える可能性はあるのでしょうか?

hCGの分泌がある以上、流産後に絨毛組織(胎盤の基となる組織)が遺残している可能性があります。現在遺残絨毛に対して、ホルモン剤を使用した自然排出を試みているようですが、これで排出される可能性もあります。ただし、完全排出までの期間は遺残している絨毛組織の大きさやhCG分泌量や血流の有無にもよりますし、長期化する可能性はあります。また、突然遺残した組織から大量に出血する事もありますので、注意深く経過を見る必要があります。

hCGが60残っている状態でも月経が来る可能性はありますか?

hCG値が60というのはかなり低い数値です。遺残している絨毛組織も少ないと考えられるので、月経が今後自然発来する可能性は十分あります。

遺残組織が消えない場合、どのような対処が必要でしょうか?

絨毛遺残に対しては、通常子宮鏡を使った除去術をします。残存絨毛組織のサイズや血流によって、出血が危惧される場合はごく稀に、血管塞栓術での止血を追加することもあります。

現在の状態で性行為を再開しても問題ないのでしょうか?

出血等が無ければ、性交渉自体は問題ないと考えます。ただし、出血症状を伴う場合は早期に遺残絨毛を除去した方がいいので、早期の治療介入をお勧めします。

今後の治療方針について、先生でしたらどのように提案されますか?

次回の胚移植の前にまずは、超音波や子宮鏡で絨毛遺残組織が完全排出されたかを確認する事を勧めます。
当院でも流産後の絨毛遺残の症例はあります。
なかなか排出されない遺残絨毛に関しては、当院では新たな細径硬性鏡システムを導入しており、入院の必要なく外来で、日帰り手術が可能となっております。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。本サイトの全ての記事は医師監修です。