
▶︎原因不明のCD138陽性、不妊に影響しますか?
結婚から約2年、不妊治療を1年半以上続け、現在は体外受精に移行しています。これまでに5AA 良好胚を2回移植したものの、いずれも陰性。1度は妊娠しましたが6週で流産しました。CD138(慢性子宮内膜炎マーカー)では陽性が出たもののフローラ検査ではラクトバチルスが99.1%と良好なため、医師からは「原因不明の炎症なので治療することはない」と言われています。ですが、この炎症が不妊に影響しているのではと不安です。

東海大学医学部卒業。小田原市立病院産婦人科医長、東海大学付属大磯病院産婦人科勤務、永遠幸レディースクリニック副院長を経て、1996 年厚仁病院産婦人科を開設。厚仁病院理事長。日本産科婦人科学会専門医・指導医。日本生殖医学会生殖医療専門医・指導医。
フローラ検査が良好なのにC D138陽性、つまり炎症があるのはなぜでしょうか? ストレスなども関係しますか?
松山先生●CD138の陽性細胞が検出されたということで、慢性子宮内膜炎の可能性が高いですが、その原因としては、感染症以外にも自己免疫反応や過去の感染症罹患の影響、子宮内の微細な傷や微細な隆起物(マイクロポリープ)の存在などが考えられます。ストレスによる免疫バランスの変化も間接的には影響することがあります。
このような状況の場合に、本当に治療は必要ないのでしょうか? もし必要であれば、どのような治療法がありますか?
松山先生●CD138陽性が明らかな場合は、第一選択として抗生物質治療を行うことが一般的とされています。あまりに陽性細胞が多い場合は再検査を行い、陽性細胞が減少しているかを確認することもあります。
フローラ検査の結果が良好でも、子宮内膜に炎症があることはよくあるのでしょうか?
松山先生●多くはありませんが、あり得ます。フローラが理想的でもマイクロポリープがある場合や、炎症を抑える免疫バランスが乱れていたりすると、CD138陽性となることもあるようです。当院では、まず抗生物質を投与して、その後で各種サプリメントの使用を提案することもあります。
ほかの検査や、セカンドオピニオンを検討したほうがいいでしょうか?
松山先生●着床障害についてはクリニックごとに考え方があり、標準的な検査・治療は今のところはないようです。そのため、ほかのクリニックに相談してみる価値はあると思います。まずは着床障害の原因がほかにないかどうかを検討することも大切なことと思います。炎症の有無やフローラを調べる検査、着床のタイミングを確認するERA、また酸化ストレスマーカーを使った検査など、さまざまな検査が検討できます。当院では、それぞれの対策とともに鍼灸などの統合医療も提案しております。
今後、自然周期での移植を続けていいでしょうか?
松山先生●自然周期は体への負担が少ない一方で、着床の窓に合わせた移植日の設定が難しいこともあります。しかしながら、毎回同じアプローチを繰り返すのではなく、方針を変えてみることを考えてもいいかもしれません。医師と相談しながら納得のいく方法を探ってみてください。