【Q&A】黄体機能不全に対する漢方の効果~井上善仁先生【医師監修】

らいちさん(28歳)

①通院してから3ヶ月目で黄体機能不全であることが分かりました。次回もタイミング療法の予定で、黄体期にデュファストンを内服することになっています。
既にエレビットを内服しているのですが、黄体機能不全を少しでも良くするために、漢方などできることはありますでしょうか?

②黄体機能不全の場合の今後の治療方針などあれば教えていただきたいです。

井上先生にお聞きしました。

【医師監修】井上 善仁 先生 昭和59年3月、九州大学医学部卒業。同年4月、九州大学医学部婦人科学産科学教室入局。平成20年4月、福岡大学病院准教授。平成28年7月に井上善レディースクリニックを開院。スタッフ一同が協力して良いクリニックを作っていき、一人でも多くの患者さんに満足していただけるよう努力している。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

黄体ホルモンは妊娠を支える重要なホルモンであり、妊娠初期には妊娠黄体から、妊娠6週以降は胎盤から産生されます。十分な黄体ホルモンがないと着床不全や流産が生じます。
黄体機能不全に対して一般的に行われる治療は黄体期にhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)を投与する黄体賦活療法と、デュファストンなどの黄体ホルモン剤を投与する黄体補充療法です
漢方に精通しておられる医師であれば漢方薬を使用することはあるかと思いますが、一般的ではありません。黄体機能不全に有効と言われている漢方薬にはいわゆる女性3大漢方薬である桂枝茯苓丸、当帰芍薬散、加味逍遙散や、温経湯がありますが、実際に黄体機能の改善にどの程度の効果があるかについての明確なエビデンスはあまりありません。
またアメリカ生殖医学会(ASRM)は黄体機能不全という疾患そのものを認めておらず、黄体機能検査は不妊症の一般検査としては「行う必要がない」としています。しかし本邦ではまだ黄体機能検査も一般的に行われており、黄体機能不全と診断すれば最初にお示しした治療が実施されています。今後黄体補充は行う予定のようですから、それだけでも十分ではないでしょうか?漢方薬服用は必ずしも必要とは思いません。ただ漢方薬を服用すること自体に悪影響はないと思いますので、服用したいと言う希望があれば担当の先生と相談してみて下さい。



エレビットのサプリとしての最も大きな役割は葉酸の補充です。黄体機能に対して有効という訳ではありませんが、児の二分脊椎の予防のためにもそのまま続けて頂いた方が良いと思います。デュファストンとの併用で特に注意することもないと思います。

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