【Q&A】卵が育ちにくい。対策は?~高橋敬一先生【医師監修】

桃さん(42歳)

自費治療で体外受精4回目となります。
採卵についてお伺いします。私は、卵が大きくなるのが遅く注射も1週間以上はかかります。前回の病院、前々回の病院ではゴナールエフ、ガニレストを使って最大3個、少なくて2個、空砲もありでした。今回、3回目の病院で、注射がレコベルで2個採れましたが、PGT-Aに提出しようとしてたため胚盤胞まで育てようとするもならず、もう一度採卵からスタートになりました。今週期は「注射を変えましょう。HMG、フォリスチームどちらにしますか」との事だったのですが、卵が大きくなるのが遅く、採れても最大3個の私に1%でも確率が上がるのはどちらでしょうか??
他に良い注射などはありますでしょうか??

また、子宮環境が良くなると卵の質は良くなりますか??次の採卵で、生理をおこすピルを飲んで採卵に向けてスタートか自然の生理を待ってスタートかのどちらかで、薬で月経をおこさせるのか、自然に生理をおこさせるのか、どちらが良いのでしょうか?

子宮内フローラの検査の結果ラクトバチルスが99.6%でしたが「99.4%がinersで0.2%がcrispatusとの事で99.4%のinersが将来的に子宮内膜炎になるかもだから、ラクトフェリン、プロバイオティクスのサプリを飲みましょう」との事でした。
あまり食欲はありませんが、沢山食べた方が卵の質や大きさは改善されますか?

【医師監修】高橋ウイメンズクリニック 高橋 敬一 先生
金沢大学医学部卒業。国立病院医療センター(現・国立国際医療研究センター)、虎の門病院を経て米国ワシントン大学に留学。1996年虎の門病院に復帰した後、1999年千葉市に不妊治療専門『高橋ウイメンズクリニック』を開院。2014年ベストドクター認定(ベストドクターズ社)。2022年10月に開院から累計で妊娠2万例を達成する。

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卵胞の発育が遅いのですね。また胚盤胞にならずに残念です。AMHの値が低く、卵巣機能は低下気味のようです。したがって卵胞発育がしばしば遅くなることは珍しくはありません。その場合には、HMG/FSH注射をしばしば追加使用致します。
様々な報告はありますが、HMGとフォリスチムのどちらが良いかの差は明確にはありません。主治医も「薬剤を変えて試してみる」程度の目的で変更を提案しているのでしょう。あえて言えば、LHが低い場合にはHMG注射を優先して使用することはあります。人間の体はいつも反応が一定、でもないので、その周期の卵胞数なども考慮して、内服薬やHMG/FSH 注射の調整をおこなうことになると思います。
子宮環境と卵の質は、直接の関係はありません。生理をおこすのに、自然かピルを使用するかの差は、明確なものはありません。生理が不順ならばピルを使用することは一般的です。以前は、ピルを使用すると卵子が揃うとの報告もありましたが、現在では否定的にとらえられています。

ラクトバチルスのイナーズは、最近の報告では着床障害に関与するとの報告があります。一般的にはまだなっていませんが、ラクトフェリンやプロバイオティクスの内服や膣内投与は、子宮内環境の改善に寄与すると考えられます。イナーズが子宮内膜炎の原因かどうかはまだ研究中の内容で明確ではありません。

痩せ気味のようです。筋肉も少ないようならば、たんぱく質や食事量の増量は卵の質の改善に寄与する可能性もあります。ただし、血流改善の運動なども併用するほうが良いでしょう。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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